2019年2月、山陰の新しい観光列車「あめつち」に乗りに行きました。
この時はたまたま、土日に連休となるシフトだったんですが、指定券を
買いに行くと日曜の「鳥取→出雲市」より土曜の「出雲市→鳥取」の便
の方が空いてたので、自由度の高そうなそっちを選択したんです。

早朝に奈良を出て岡山経由で昼前に出雲市に到着。ココでひと休み
して「あめつち」を待ちます。
やはり歓迎ムードを盛り上げるディスプレイが為されておりました。
発車時刻が近くなったので、改札口で入線時刻を訊いてみますと。
発車が13:41なので30分前ぐらいだったんですが「もう入ってますよ」と。
往路の便が着いた後、特に基地へ引き上げたりせず簡単に掃除する
程度なのかも知れません。…コレは意外ですが嬉しい話です。
ゆっくり写真が撮れるし、早く車内に入れるなら寒さも防げるじゃない。
ホームのベンチスペースにも「あめつち」PRのイラストが入ってました。

…元の車両は各地のローカル線で見慣れたキハ47ですが、ソレを
観光列車に改造するのもすっかり当たり前になった気がします。
「あめつち」を漢字表記にすると「天地」。…各種の古代神話が残る
山陰地方に因んだネーミングでしょう。貫通扉には地味なのか派手
なのか分からんエンブレムが鎮座しておりました。

方向幕部分は埋めて、ココにもエンブレムですね。…古代の女王の冠
とか、そんな風にも見えなくはナイ感じでしょうか?
車番はキロ47の7005と7006。…はい、グリーン車です。番号としては
「みすゞ潮彩→○○のはなし」の7003と7004からの続きなんでしょう。
車両をグリーン車にするか種別を特急にするか(「あめつち」は快速)、
どっちが儲かるのか知りませんが、ソノ判断基準はドコにあるのか?
車両も走り方も多種多様すぎて境界が全く分かりません。

と、ココまで撮ってたら車掌さん(若い女性)が記念写真用のボードを
持ってきて「お撮りしましょうか?」という事なので一枚所望。
…しかしこう言うのは走ってる時に車内でやるもんではナイのか?
気が付くとあと10分で発車という時刻になってました。
ソレにしては客の集まりが悪い。例えば途中の玉造温泉や松江辺り
から団体が乗るのかも知れず、先述の車掌さんに訊ねたら「ソレほど
混まないと思いますよ」との事でした。…ぇ、そうなの?
ともあれ中に入って、空いてるうちに車内の様子も撮っておきましょう。
…グリーン車なのにボタンを押してドアを開けるのか。
私の席は2号車です。「2」という数字にウサギとサメがあしらってある
のは、白兎海岸のお話に因んだモノでしょう。芸が細かい。
空いてるのをイイ事に発車までに車内の様子を押さえておきましょう。
私が買ったのは2号車。出雲市から鳥取への「復路」だと先頭車です。
「キロ47」という車種は一応「伊予灘ものがたり」に前例がありますな。
復路は進行方向の左側が海になりますので、そっち向きに4名掛けの
ボックス席とカウンター席があり、反対側を一段高くして2名掛けの席
になります。コレも「伊予灘ものがたり」に似た配置ですね。

カウンターは場所によって「元の窓」「扉を埋めた部分」「戸袋窓」と
差があるので、端っこは些かハズレかも知れません。…席に余裕が
ある時なら、公式サイトの画像を見て指定するとイイでしょう。
4名掛けのボックス席は概ね、車両の中央部分。やはり窓割りと合って
ナイのは仕方ありませんが、こちらは大体平等かな。

山側は2名席が並んでますが、一段高くしてあるので視界は良さそう。
座席も他では見ない感じのタイプであり、シートカバーもロゴ入りの
オリジナルですが、全席とも回転やリクライニングは出来ません。
…グリーン車なのに?まぁ観光列車は例外的なので苦情は出ないか。


トイレと洗面所は1号車にありました。シンクに土地の陶器を使うのも
観光列車のセオリーになりました。…トイレは元のロングシート部分
まで潰して、バリアフリーの広いやつになっています。
…しかし誰も乗って来ませんねー。空いてて有り難い(気にせず写真
が撮れる)ので、続けて発車までに車内紹介を全て済ませてしまおう。
2号車には販売カウンターがあります。

オリジナルグッズの他に飲み物や軽食なども販売するで飲食店営業の
許可を取得してあるのが確認出来ますが、基本的に軽食類は予約のみ
になるようですね。
…鳥取も出雲市も駅弁には事欠かない駅ですが、積み込んでのフリー
販売だと余った時のリスクが大きいのかも知れません。

販売カウンターの向かい側は、景色が眺められるフリースペースです。
車端部の豪華な刺繍のレリーフも御当地の特産品だそうな。
…「あめつち手帖」という矢鱈に豪華なパンフレット(車両そのものより
沿線の神話や観光案内などについて)が用意されており、記念スタンプ
もココにあります。
 
天井の照明には、コレまた御当地の和紙が使われており、全体的に
和風な柔らかさのモノになっておりました。
…こう言う伝統工芸の文化が多く残ってる地域というのは、観光列車
をデザインするに当たっても得と言うか、奈良に何かあったか?と、
ついつい比べてしまうのが悪い癖です。
ココまで完璧にやっといて、エアコンはJR初期の後付け式というのが、
キハ47らしい所で笑えます。
で、天井の照明をお洒落なモノに変えてしまったので、扇風機は存在
しない筈なのに、何故かスイッチだけが残っておりました(全部そのまま
各所に)。押すとどうなる?…扇風機のに見せかけた別の用途のかも
知れず、勇気は起きなかったですね。

他にも随所に地元産の木材(智頭杉)を使ったレリーフや車体デザイン
の原画などが展示されておりました。
全てを網羅するのは大変です。物見遊山で温泉地から乗ってくるような
オッサン団体などに、この良さは全部伝わるのか?謎ですね。
…長らく引っ張りましたが、ようやく発車時刻になりました。
乗車券は出雲市で改めてスタート。翌日に智頭急行経由で京都まで
帰る分を含んでいます。

発車して程なく、斐伊川を渡ります。ココはヤマタノオロチ伝説に
縁のある所だとかで、観光列車らしく徐行運転をしてくれました。
結果的に現時点で乗ってるのは、私の他に旅の老夫婦みたいなのが
2組だけ!…さっき松江で見た往路便は、もっと乗ってたように見え
ましたし、明日のソレもほぼ満席の筈なんですがね。
観光列車の復路便ってのは、どっちかってと「裏」の存在なんでしょう。
以前に社長が「奥出雲おろち号」の備後落合発のに乗ろうとしたら、
自分以外の乗客がゼロで貸切状態だったというハナシも聞きましたし。
…コレは混雑嫌いの私にとってはイイ知恵となりました。
勿論多少の例外はあるでしょうが今後「観光列車は復路便を優先的に
行路に入れる」事を心がけましょう。

次の直江でイキナリ長時間の運転停車です。
…駅舎から遠い3番線に入り「スーパーまつかぜ10号」を退避。そして
「やくも9号」、快速1本と交換します。
以後も概ねこんな感じで進むんですが、ノンビリしてていいですね。
急ぐ必要はありません。ただ正式な停車駅での停車時間は短かい所
が多く、あまり外へ出られなかったのは残念かな。
先程の女性の車掌さんが検札に回ってきました。検印も「あめつち」
オリジナルになっています。
…乗車券は明日も使うから、ちょっとカッコいいじゃないですか。
ココまでの画像を見ての通り、少し雨が降り出しました。
「だから代わりに」って事でもナイでしょうが、沿線の景色のいい箇所
をダイジェストにしたような絵ハガキを頂きましたよ。
…2号車が先頭だから、貫通扉からの展望は利くのですが、さっきの
ような「徐行区間の専用の制限標識」が確認出来ないのが残念かな。
検札の後、先程の車掌さんが同列車のオリジナルだという「おみくじ」
を持ってきました。

一般的な「大吉・中吉」等のランク付けではナイので、些か分かりにくい
のですが私に出たのは櫛名田比売(くしなだひめ)ですか。
櫛名田比売は出雲神話の女性キャラだから、オッサンが引いても意味
を
為すのか?とは思いますが、解説部分を読んでみるに…
「意外な強さを内面に秘めた人。その強さをここ一番で発揮する事で、
大切な人の支えとなり、あなた自身も輝きを発揮できるでしょう。」
…なかなかイイ事が書いてあります。私がドレだけ古参連中に疎まし
がられても付かず離れず社長を見守って、時には辛辣な事を言うのも、
コノ辺に由来する事なのかも知れません(猫殴)。
何事も聞こえのイイ意見だけでは発展性がありませんからね。
 
続いて販売カウンターのアテンダントさんが、予約した昼食を運んで
くれました。…この予約の取り方が割と複雑でしてね。
まずJR西日本の公式サイトの「あめつち」のページから、昼食を扱う
日本旅行の予約サイトへ飛ばされます。…ソコで乗る列車や人数など
を指定すると、後日クーポン券が宅送されてくるという手順。支払いは
クレジットカードです。
例えば「花嫁のれん」や「伊予灘ものがたり」だと食事の予約も指定券
と同時に駅で取れたんですが、何でこんなに複雑なんでしょう?
(ネット環境が使えない場合は、日本旅行の店舗で申し込むのか?)
そうやって私が予約したのは、復路便限定になる「山陰の酒と肴」セット
です(上下別で飲酒系とスイーツ系が各2種類ずつ設定されてます)。
「酒と肴」なので、お弁当は炭水化物が少なめの「アテ仕様」。地酒か
地ビールが選べるので、しまねっこのラベルに惹かれて地ビールに
してみましょう。…地酒の方は後で買い足せばイイだけの話だし。
地ビールは一般的なモノより甘めでフルーティな印象です。苦手な方
にも飲みやすいかも知れません。
程なくして、私にとっては今日2度目の宍道湖が見えてきました。
ココでも特に景色のイイ所で徐行運転となります。…そして要所要所で
オリジナルのテーマソングが流れるのも凝った演出ですよ。

混雑を懸念してた玉造温泉では誰も乗らず、松江に到着。
ココも2分停車と短かいのでコレだけ撮るのが精一杯でしたが、新たに
乗った乗客はやはり数名。うち1人は明らかに「足代わり」の若者です。
松江からもソレほどの人数が乗らず、「空いてて快適」な状況を維持
したまま、鳥取に向けて発車しました。

ココで駅弁の(当列車における)2食目です。…出雲市で買ってきた
「出雲招福ちらし」に、車内の販売カウンターで買ったオリジナルの
地酒を合わせてみましょう。
…相変わらず日本酒の事は不案内ですが、口当たりがよく寿司飯にも
よく合う感じでした。車窓は松江を過ぎると中海になります。

東松江は松江地区の貨物駅でもありますが、ココでも運転停車。
…私が以前に駅ノートを描いた、南海加太線の同名の駅とはカナリ
雰囲気が違います。「似た駅名で待ち合わせ場所を間違える」ネタも、
ソレほど頻繁には出来ませんが。
続いて安来に停車した後、古くから山陰
の鉄道の要衝の1つである米子に到着。
コノ辺で感覚的に「約半分」の感じです。
…結局の所、出雲市から鳥取まで4時間
近く掛かるワケでして、同区間を走る特急
「スーパーまつかぜ」の約2倍です。
調べてみたら国鉄時代の気動車急行でも
3時間程度なので、如何に鈍足(待ち時間
が多い)かなのですが、ソレぐらいの方が
ゆっくり楽しめるのは事実。

同駅には後藤総合車両所が併設されてるので、駅舎と反対側の側線
には多数の車両が見られました。「あめつち」の改造もココの仕事です。
京都丹後鉄道の「丹後の海」が来てるのは恐らく、ココに検査を委託
してるからだと思われますが、最低でも豊岡から回送してくる必要が
あるワケでしょ?結構な距離だと思うんですが。
という事で再び発車。…女性の駅員
さんがお見送りしてくれました。
途中駅での運転停車は矢鱈と長い
のに、実際に停まる主要駅での停車
時間が短かいのが残念ですね。
ダイヤ的な事情は色々あるかも知れ
ませんが、主要駅で時間を長く取って、
特産品の販売とかあればイイのに。
周知の通り山陰本線は、伯備線が
入ってくる伯耆大山から出雲市を
過ぎて車庫のある西出雲までが電化
されてますよね(京都口を忘れてる
ワケじゃないですよ)。
だからココから非電化区間ですな。
…私は「架線柱が景色を邪魔しない」点
ではこっちの方が好きなんです。
車窓は右に大山(だいせん)、左に日本海が見える区間になります。
…相変わらずの雨なので、些か見づらい所ではありますが。
山陰本線は概ね日本海側の海岸線に沿って走ってますが、実際に
海の間近を通る区間は少ないです。一応ココも徐行運転ですね。

続いての運転停車が御来屋です。…ココの駅舎は1902年の開業当時
から残るモノで、山陰地方では最古の駅舎なんだそうです。
…こう言う所に駅ノートがあれば面白い所かも知れませんが、今の所
確認はされておりません。
で駅舎と対反側のホームの待合室が車掌車っぽいのですが、コレまた
山陰では珍しい?ウチの社員旅行のような鉄ヲタ団体なら過剰に反応
が来る所でしょうが、車内は特に無反応。…そりゃそうか。

続けて倉吉に到着。ココまで来ると「スーパーはくと」が定期便で入って
きますので、感覚的にも「近くまで戻ったな」という感じ。
…京都や大阪辺りから「スーパーはくと」に乗ろうとすると、倉吉行きの
場合「鳥取方面倉吉行き」という案内になるんですな。
そうしないと分かりにくい?「奈良方面加茂行き」よりマシかと思うけど。
そんな感じでカナリの時間をかけて終点の鳥取に到着しました。
…日本酒が回って最後の方は寝落ちしておりましたが。
夕方5時前なので、帰ろうと思えば帰れる時刻ですが、今日はココで
1泊して帰りは明日になります。…この時は時間に余裕があったし、
雪で遅れた場合を懸念したのですが。
「あめつち」は私にとって、久し振りのJRの観光列車でした。
やはり走行区間と時間が長い方が、ノンビリ楽しめていいもんですね。
予約の方法は些か複雑ですが、豪華なお弁当が出るのも魅力です。
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