2016年11月、「なごみ落選による補完」の関東ツアーの2日目は埼玉県。
上尾市に一泊して朝から熊谷駅へやってきました。
本日はココから秩父鉄道のSL列車「パレオエクスプレス」に乗ります。
「なごみ」に落選した時点で、何か代案をと考えた時、真っ先に浮かんだ
のがコレだったのですが、よく調べると金曜日も走ると言う事で、
「じゃあ最も空いてそうな金曜にして、土曜(当日)は別な所へ行こう」
となったワケです。
…秩父鉄道の熊谷駅は、昭和の風情が残る出札口が印象的でした。
運転期間中なので、やはりパレオエクスプレスの案内も出ております。
で今回は私1人ではなく、麗わしい同行者が
居ます。10月に知人の鉄ヲタ夫婦に会った時
「落選しても関東へは行くからね」という
ハナシをしてて、パレオエクスプレスの事も
話題に出たのですが、その嫁のときちゃんが
「興味があるので一緒に行きたい」と!
…何度か調整を行い、ちゃんと旦那さんの
許可を得ての同行となりました。
ヨコミ風に言えば「いーだろー(笑)」ですね。
ともあれ熊谷駅で待ち合わせ。…女性と2人
で会うって、社長を除けば何年振りなのよ?
…ちなみに翌日は、旦那さん(にしたけスマイル氏)も交えての食事会
を予定しております。
ともあれ無事に会う事が出来、ホームに降ります。程なくして寄居方向
から電気機関車に牽かれる感じで「パレオエクスプレス」が入線。
…秩父鉄道は貨物輸送があるので、電気機関車も多く保有してるのが
面白い所でしょう。
てっきり羽生方面から来ると思って構えてたので、少し不意を突かれ
ましたが、前方へ回ってみましょう。電気機関車はココで切り離します。
「パレオエクスプレス」を牽くのはC58型。均整の取れたスタイルのいい
蒸気機関車です。まだ煙が少なめだから…罐は本格的に炊いてない?
では続いて機関車の細部を見て行きましょう。
「パレオエクスプレス」のC58型は、ローカル線で旅客と貨物の両用
として使えるように設計された機関車です。車軸は1-C-1、有名なD51型
より動輪が1軸少ないという事で、弟分みたいな扱いでもあるそうな。
全体の中では決して大型ではナイ、自動車で言うと1600tクラスぐらい
だと思うのですが、ソレでも大きく見えますね。
仕業標のように、熊谷から見て寄居方向にある広瀬川車両基地から
回送されてくるようです。…私は熊谷に転車台があると思ってましたが。
…キャブ周りなどを細かく見るのが好きです。
「パレオエクスプレス」は昭和63年から運転されておりますが、そもそも
全線が電化してる秩父鉄道で、よく引き受ける事が出来たもんだと感心
しておりますが。C58型という機種を考えた場合、コノ程度のローカル線
が最適なのは事実?
所で「パレオ」って何よ?
私には女性用の水着の腰巻みたいなヤツ
しか想像出来ないんですが。
…「パレオパラドキシア」という古代生物に
由来するんだそうです。秩父地方でソノ化石
が見つかったという事に因んだそうな。
しかし無難に「SL秩父路号」とかでなく、
列車名としては思い切ったネーミングですね。
「〇〇エクスプレス」ってから最初に聞いた時、
何となく「リゾート21みたいな電車」を想像して
しまいましたよ。
とか何とか考えてるうちに罐の圧力も上がったようで、発車準備完了?
先程の電気機関車をホームに残し「やっこらさ」という感じで発車。
…車内に流れるオルゴールはハイケンスのセレナーデでした。
発車して暫くは、盆地部分の田園地帯
を走ります。車窓には昨日の雪が多く
残っており、ソノ風景目当てと思しき
撮り鉄さんも多く見かけました。
…しかしお天気が良くなった分、車内
が矢鱈と暑いんです。
窓は「最小限の隙間」の段階に開けた
程度で丁度イイ体感温度でした。
そんな感じで「パレオエクスプレス」は三峰口まで、通常の急行電車
の倍近くの時間をかけて走ります。
…観光列車であるが故の長時間停車などを別にしても、やはり感じる
速度はカナリ遅め。のんびりした時間が過ぎて行きますね。
機関車の次は客車を見て行きましょう。はい、客車大好き。
元は国鉄で使われていた12系客車の4両編成です。秩父鉄道に譲渡
された当初は、トワイライト風の緑色の塗装だったようですね。
…そもそも私鉄で「客車」ってのは少ないから、こう言うケースでは客車
も国鉄のを貰ってくるのが一般的でしょうか?
秩父鉄道の社紋と、車体の隅っこに移動した形式番号。
「オハ」とか「スハフ」の表記は省略されていますが、正式にはそのまま
で、製造番号だけが改番されてるようです。
車内はモケットや内装板の張り替え以外、ほぼ原形のままですね。
…国鉄型のシートの色としては「青」が一番似合うとは思うのですが。
日本電装というのは、関西ではあまり馴染みのナイ会社ですが、主に
東武鉄道の車両の改造やメンテナンスを請け負ってる所のようです。
そして4両編成のうち、往路の三峰口行きは1号車、復路の熊谷行きは
4号車と、どちらも客車としての先頭…機関車に近い側の1両が指定席
になります。
指定券はJR東日本管内でしか売られておらず、にしたけスマイル氏に
取って頂いたのですが、現地へ行ってみると指定席がほぼ満席なのに
対して自由席はガラ空き。
…平日に団体客を扱うと、このような逆転現象がたまに見られますね。
「混雑した場で疲れやすい」という奥様(ときちゃん)を考慮して、自由席
に座る事にしました(乗務員さんに訊ねたら別に構わないらしい)。
そんな感じで平日の自由席で、のんびりとSL旅を満喫して参ります。
今日は話し相手が居るので、いつもとは少し違う雰囲気ですが。
…私はコノ手の観光列車に乗ると、ネタ探しにウロウロと立ち歩くので、
空いてる自由席の方が便利なんですよ。
そして女性と一緒ではあるものの、交際してる人ではナイので、
必要以上に気を遣わなくて済むと言うか「列車よりあたしを見てよ!」
という状況でもナイと言うか…カップルで乗り鉄してる人は、ソノ辺は
どぅなんでしょう?
車内のL字フックには、沿線の観光パンフレットや車内販売のメニュー
などが吊り下げられています。
…弁当は2種類あるようなので「貴女とは違う種類のを買うから、写真
だけ撮らせてね。」という話し合いが成立しました。…コレは便利!
更に車内を見て回ります。基本的には国鉄時代と変わらないものの、
一部の洗面所が撤去されて記念スタンプの置き場になってたりします。
…コノ辺は「やまぐち号」と似たような事情か?
そして客室内のベンチレーターの左右に渡り、謎の竹竿を発見。
各車両に1か所ずつあったんですが、コレは何に使うもんなのか?
そうこうするうち、最初の長時間停車駅である寄居に到着しました。
…乗り潰しで何度か来た事のある駅ですが、確か前回はすごく暑い日
だったように記憶しております。
ココから線路は山間部に入っていく感じになるんだったかな?
JR八高線と東武東上線の間に秩父鉄道が割り込む配線でしたね。
…本数の少ない八高線に列車の姿はありませんでしたが、東武の方
からは、やはりSL列車に対する好奇心の目が向けられてる感じです。
ココから列車は段々と山間部に入っていく感じで、勾配がキツくなる
のを感じます。…カーブが多いから前方の機関車が撮れるポイントも
多くなりました。晩秋の紅葉が背景となる構図が絵になるのか、撮り鉄
さんも増えてきましたね。
そんな感じで次は上長瀞に停車。ココでも少し時間を取ります。
ノスタルジックな木造の駅舎ですね。しかし「パレオエクスプレス」は
反対側の3番線に入りました。…復路便だったら向こう側なのかな?
ホーム上屋の木造のヒサシ部分が、凹凸互い違いになってるデザイン
は割と全国的に見られるモノで、戦前頃に流行ったモノらしいです。
…乗客の利用状況としてはどうなんでしょう?全区間を乗り通す人が
多いのか、ココらで降りて秩父の観光に行く人が多いのか?
ともあれホームは記念写真大会。
長瀞を出ると、程なくして沿線の一番のハイライトである荒川橋梁です。
…前日の雪がウソのようなイイお天気ですね。
そろそろお昼になりますので、ココらでお弁当にしましょうか。
車窓に秩父の名勝の一つ、武甲山が見えるようになると、間もなく終点
の三峰口です。
武甲山というのはソノ昔、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が自らの
甲冑をコノ山に奉納した事に由来する名前だそうです。…っていきなり
古代史だ。ご当地の産業である石灰石が採れる山なので、地形が侵食
されて山肌が段々状態になってますな。
…コノ辺りの知識は、車内放送で繰り返し流れる、ご当地出身の落語家、
林家たい平さんの観光ガイドアナウンスから得たモノです。
三峰口に着くと、機関車のC58363は客車を切り離し、整備のために
奥の留置線に移動します。
…先述の林家たい平さんの案内では、
「到着後に機関車の整備を駐車場で
行います」みたいな表現だったので…
「は?留置線でなく駐車場?原稿ミス
じゃね?とか思ってたのですが、ホーム
の続きが(自動車の)駐車場になってる
のね。 …私の早とちりでした。
ではソノ整備作業を見に行きましょう。
石炭は恐らく、往復で使う量は元から積まれてるモノだと思われます。
ココでやるのは総量の全体を前に移し、帰路で投げ入れやすくする
ための準備でしょうか?
ソレと連結棒などの駆動部への注油。こんなに短時間ごとに行うもん
なんですね。知りませんでしたよ。
そして給水ですね。一般的に蒸機機関車は、水を石炭の6倍〜7倍
程度消費します。…だから数百キロをノンストップで走る「特急つばめ」
には特別設計の水槽タンク車が必要だったワケなんですが。
ココでは帰りの分の水を、消火栓みたいな設備からノンビリと補給して
おりました。
終点の三峰口には、当然に機関車の向きを変える転車台も存在します。
続いてはソノ作業を見に行く事にしましょうか。
線路の行き止まり方向にある踏切を渡ると、駅の反対側にある鉄道車両
公園(展示車両の経年劣化が悲しいアレ)に出ます。
ココから転車台の作業も見学出来るという事で、来てみました。
説明によるとコノ転車台は「パレオエクスプレス」のために近年になって
新設されたモノらしいです。まぁ確かにSLがなければ要らないモノです
が、ソレ以前は近くのデルタになった貨物線で方向を変えていたそうな。
動力は電動モーターで、上部の電線から電力が供給されるようです。
…近くに居た鉄ヲタさん2名の会話。
A…ぐるっと回したらコードがネジレる
んじゃない?
B…あー、確かにそうだよね。
私も少し気になったのですが、中心の
接合部分がフレキシブルな構造らしく
そのような事はありませんでした。
…当たり前っちゃ当たり前か。
ともあれ、先程の場所から何度かスイッチバックして線路を変え、
C58363がバック運転で近づいてきました。
…誘導する係員さんのステップへの立ち方は、若狭鉄道で習ったの
と同じですね。長時間になるとヒジが痛いらしいです。
絶妙なブレーキ操作で転車台の中心に収まり、180度回転させます。
…津和野機関区(跡地)のモノは「やまぐち号」に使われているC57型に
対してギリギリでしたが、こちらはC58型に合わせて作られたという事で
前後に1メートルほどの余裕があります。
恐らくコノぐらいが適正な大きさなんでしょう。
向きを変えたC58363は、再び元来た方向へ戻り、客車の横の線路を
通過して反対側に連結されます。
さてC58363が転車台で向きを変え、
ホームの方へと戻って行きます。
時期によっては「秩父夜祭号」とかの
列車名がつき、ヘッドマークが掲出
されるとの事ですが、基本的には何も
ナシなのが、私には却って好ましい
と言うか…元々は特急などの限られた
存在だったんですもんね。
そしてホームに戻り、熊谷方向に連結されます。
「パレオエクスプレス」の到着後は、安全確保のために島式側のホーム
は閉鎖されてますので、連結の作業などもココから見る事になります。
作業が終わると改札が開始され、我々もホームへ入りました。
…ちなみに10分ほど前にも普通電車が出るので、コレで帰ってもイイ
のですが、途中の影森で「パレオ」に抜かれます。
だから御花畑まで帰ろうとしてたら、こっちの方が早いという事でした。
既に罐炊きが始まっており、段々と圧力を上げていく感じです。
帰りは短区間なので、元々自由席の予定でネット予約してきました。
三峰口駅で整理券と引き換えます。…指定券より見栄えがイイな。
車内販売で、帰ってから大阪で会う皆さん用のお土産を購入。
という事、で帰路は西武鉄道と連絡する御花畑で下車。
…先述のようにホームの長さが足らないので、こんな感じになります。
ココからは西武鉄道で池袋まで戻りましたが、地理的に不案内なので
ときちゃんに頼りっ放しになりました。
…ソレも含めて今日一日お付き合い、ホントにありがとうございました。
コレを以て「通年定期運転のSL列車」は全部制覇した事になりますか?
次に行くなら「ばんえつ物語」か「SL銀河」辺りになりそうですが、
競争率高いだろうなと。
…以下おまけ。
余った画像が何枚かありますので、またレトロ調に加工してみました。
私は世代的に「SLブーム」というのをギリギリ知りません。
当時は今より色んな規制がユルかったようで、機関区なども頼めば簡単に
見学させて貰えたようなフシがありますよね。
翌日は千葉県へ移動して、いすみ鉄道の「国鉄急行」に乗る予定です。
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