「丹後 あおまつ」と「丹後 あかまつ」に乗車してから約1年後の
2016年8月、久し振りの京都丹後鉄道という事で、残っておりました
もぅ1色の観光列車「丹後 くろまつ」を探りにやって参りました。
…この日の旅は京都からスタート。特急「まいづる」で西舞鶴に到着
しております。
西舞鶴駅は、駅舎は橋上化しておりますがホームは地上にあり、
端っこの「0番線」な位置に京都丹後鉄道のホームがあります。
昔から各種イベント列車が盛んに運転されてる事もあり、ホームにも
ヘッドマークが沢山飾ってありました。
程なくして「丹後くろまつ」が入線。…確かに黒いです。
以前に乗った「あかまつ」は、定期列車に特別車両が連結されている
スタイル。「あおまつ」は完全に自由席の快速列車でしたが
「くろまつ」だけは独立した臨時列車として運転されるようですね。
早速、車内に入ってみましょう。
座席は2人掛けと4人掛けのテーブル席のみが並んでます。
景色のイイ方向に向いてカウンターが作られているスタイルではなく、
このような造りになってるのは、最初から「食事提供」を旨とした設計
だからだと思われます。
…そして前方の右側には展望席。「こども席」と釘を刺されてますが。
席配置は西舞鶴方向から行くと、
右側が2名掛けで海側。左側が
4名掛けで内陸側になります。
…当日は月曜日だったので、乗客
は私を含めて3組で7名。
アテンダントさんからは「お好きな
所でイイですよ」と言われましたが、
ネット予約の時に席が指定出来る
ので最初から海側を選んできました。
ちなみに椅子は単なる椅子に見えますが、昔の国鉄の食堂車と違って
床にビスで固定してありました。…位置が揃ってて見栄えがイイですね。
車端部分には観光列車にありがちなカウンターが設置されていますが、
料理はアテンダントさんが運んでくれるし、記念グッズなども席まで
持ってきてくれるので、ココで何かを買うという事は想定してナイ感じ
でした。
…しかし案内として貼ってあるポップの漫画に出てくる人物がどうも、
ココのアテンダントさんたちをモデルにしてあるようで…
「コレがこの人、アレがあの人。」って分っちゃうのが面白かったです。
という事で間もなく発車。「丹後くろまつ」ランチコースの始まりです。
発車と同時にまずは記念乗車証と本日のお料理の献立、そして豪華な
昼食が配られました。
酒のアテにもなるメイン料理と、ご飯物としてちらし寿司が付いてます。
…早速ビールと一緒に頂きましょう。
奥に置いてあるタブレット端末は、調理の様子や調理師さんのコメント
が動画で見れるというサービス。…地味にカネ掛かってますよ。
「丹後くろまつ」の運行コースとしては午前中の「スイーツ」、お昼の
「ランチ」、午後の「地酒」の3種類があり、ランチが一番高くて豪華
なのです。…何故か「ディナー」はありません。3本だと運用が1往復
半だから回送で戻すスジで出来ないモノなのか?と思いますが。
そんな感じで「丹後くろまつ」は天橋立を目指して走って行きますが、
当日はコレまた台風接近で結構な雨になってしまいました。
そして単線区間の上下交換も含んでの事ですが「ゆっくり食事を楽しむ
列車」なだけに、途中で結構止まります。普通列車で約50分の所を
2時間かけて走る感じですね。
…ドリンク2杯目。滅多に飲まない日本酒ですが、イイ地酒がある
というので頼んでみました。ロックで頂きます。
アルコールを温めて飲む(燗)という文化は、世界的に見て珍しい
らしいのですが私はどうも苦手です。…冷えてる方が好きかな。
はい3杯目です。コレまた地元産のワインがあるそうな。
…料理の内容に関わらず、アッサリした白が好き。こんな事をしてると
「回る」のは必至でしょうが、それぞれ一杯ずつなので大丈夫?
とか何とか飲んだくれてるうちに、列車は由良川に近付いてきました。
沿線の風景の見所の1つですね。…ちょっと飲み食いは休憩しましょう。
さて「丹後くろまつ」ですが、西舞鶴を出て1時間。列車は第一の見所
である由良川の鉄橋に差し掛かりました。
台風が接近してて結構な雨ですが、ココで一旦停止のサービス。
大正時代の宮津線開通以来の鉄橋で、長さは550mあります。
昔から撮り鉄スポットとして知られる所です。最近は通る列車の編成
もめっきり短くなったワケですが。
そんな由良川鉄橋を
渡ってすぐの所にある
のが、丹後由良駅です。
ココでも長めの停車時間
が取ってあり、アテンダント
さんの案内で近くにある
足湯と北前船の資料館
を見学出来るとの事。
自由参加な上にコノ雨
なので、他のお客さんは
誰も行きたがらないの
ですが私は行きますよ。
…車内から見てると、資料館のおじさんが雨の中を待っててくれてる
ワケですし、折角の機会ですから。
…しかし結構な振りになってきましたね。傘は列車に常備してある
やつ を借りる事が出来ました。
跨線橋を渡って駅舎から外へ出ます。丹後由良駅の駅舎は海岸に
近い事に因んで、ヨットの帆をイメージしたデザインなんだそうな。
ココからは資料館のおじさんに先導されて、駅前通りを少し歩きます。
…乗客数が3組で7名という事は、事前に連絡が行ってたでしょうが、
雨に濡れながら待ってて下さった事に感謝ですね。
しかしコノ傘、ちょっとイイな。同じものを売ってたりしないのかな?
では暫くは列車を離れて、丹後由良駅近くにある北前船の資料館と
足湯を楽しむ事にしましょう。
…正確には「由良の戸 千軒長者の館」というそうです。
丹後由良は左右の舞鶴や天橋立に挟まれ、観光地としては地味な
場所のイメージがありますが、夏場の海水浴スポットであり、歴史的
な見所も多いようです。
そしてココは古くは東北や蝦夷地(北海道)との海運を担う北前舟の
基地となる港として栄えていたようで、多数の資料が残されています。
担当の方が詳しく解説して下さいました。「千軒長者」というのも、
ソノ事業で財を築いた人に由来するのかも知れません。
…こういうハナシを聞いて「昔の人はスゴいなあ」で片付けるのは簡単
なのですが、時代が古けりゃ古いほど、現代より「人間の伸びしろ」
は大きかったと思うんですよね。
色んな事に関して開拓の余地が沢山あり、特に学歴のない者でも
根性と「やる気」で身を立てる事が出来たと言うか…
現代…殊にココ20年程は「働きすぎない、頑張らない事が美徳。」
になっちゃってるでしょ?だから目立つ事をすると叩かれる風潮
なんじゃナイのかと?
私がもっと昔に生きてたら、もう少し成功してたと思うのですが。
日頃の愚痴は程々にしまして、続いては足湯に入りましょう。
「安寿足湯」と言うそうな。…老人福祉施設みたいな装飾の説明書き
が目に付きます。タオルや団扇も貸してくれますよ。
8月の末とは言え大雨で寒いぐらいの気温でしたから、束の間ですが
温まることが出来ました。…いつものように足の指を目一杯広げて、
水虫菌を殺菌する事にしております。
…お茶とお菓子も頂きまして、そろそろ発車時刻のようですので、
案内して頂いた皆さんにお礼を述べたら、列車に戻るとしましょう。
さて「丹後くろまつ」ですが、丹後由良で資料館と足湯を堪能した後、
再び列車に戻って旅を続けております。
程なくしてコレまた海岸沿いの景色のイイ所で一旦停止。
停車位置目標にある「悠遊号」は、以前に運転されていた列車です。
…「電車女」で同社(当時は北近畿タンゴ鉄道)が紹介された時、
「悠遊」→「ゆゆ」にも通じる というネタで扱われてましたね。
運転士さんに訊いた所「現在は『目安にしてる』という程度で、ピッタリ
アレに停めるわけではナイ」との事でした。
そんな感じで終点の天橋立に到着。始発駅の西舞鶴から約2時間の旅
でした。…やはり結構な「のんびり運転」です。
お天気はイマイチだったものの、キレイな風景と豪華な食事、そして
地元の皆さんからのサービスを堪能出来た列車旅でしたよ。
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