2020年1月の事。長良川鉄道の観光列車「ながら」に乗るべく、京都から
通称「大阪ひだ」で美濃太田にやってきました。
長良川鉄道が第三セクター化した現在、美濃太田駅もJRとはホーム
を分けており、跨線橋を渡って同社の乗り場へ急ぎます。
…やはり観光列車「ながら」が現在の一押し商品のようで、旗状の
ポスターが随所に掲示されていますね。
元から1分遅刻のダイヤであり、更に特急「ひだ」の到着が4分程度
遅れたので、既に受け付けが始まっておりました。
…加えて発車まで10分程度しか時間がありませんので、急いで周りの
状況を撮ってしまいましょう。
車両は1998年製のナガラ300型が2両、水戸岡デザインの観光列車
仕様に改造された物が使用されます。
…スノープラウまで真っ赤な塗装になってしまいましたが、跨線橋の
下などの日陰で見るとワインレッドっぽい色にも見えますね。
テールランプがクリアレンズになったのは、ソノ方が視認性が良い
からだそうで、ソレの最大手はJR西日本の広島地区でしょう。
オリジナルのカーペットではナイものの、赤い毛氈が敷かれた乗車口
から車内に入ります。
往路便では最後尾になる運転席部分は、オリジナルロゴの染め抜いた
のれんで仕切られておりました。…ちなみにサービス係のアテンダント
さんは乗務しますが、運転方式としてはワンマン列車です。
今回、ランチプランで乗せて頂く車両は「ながら・鮎号」の302号車。
…すっかり見慣れてしまった水戸岡風の観光列車ですが、2名掛け
と4名掛けのボックスシートが主体となっており、カーテンで個室風
に仕切れるようにもなってました。
テーブルが付いた分だけシートピッチも広がったようで、窓割りとは
ズレが生じています。
沿線の名物を水戸岡風のデザイン画にして掲示するのも定番かな?
…変わり映えがしませんので、いっその事私が描いてやろうかとも
思うんですが、まぁダメでしょうね。
そんな感じでそろそろ発車時刻のようですが、トイレに行った(車内に
トイレがナイので)おばさんが1人帰ってこないらしく、少し遅れてます。
…一部に発車後や途中駅で撮った画像も含みますが、先にマトメて
やってしまいましょう。
先述の通り「ながら・鮎号」の車内は4名掛けと2名掛けのボックス席
が基本になっています。食事が提供される事もあるので、折り畳み式
のテーブルがありますね。広げるとカナリの広さになりますな。
そして一部に窓向きのカウンター席もありました。当日は参加人数が
ソレほど多くなかったんですが、満席だとココも使ったりするかしら?
木を基調とした和風のインテリアと謎のアニマルっぽい柄のシートと、
丸いピンみたいな取っ手と…すっかりお馴染みの水戸岡デザインです。
観光列車なんて一般的には1本か2本乗る程度の物であり、コンセプト
が被りまくってようが気付く人は少数派なんでしょう。
北濃方向の端には地元の特産品を展示するショーケースとサービス
カウンターがありました。コレまたお馴染みの仕様です。…コレで本棚
があれば完璧ですが、スペースが確保出来なかった?
サービスカウンターは、料理を提供する時のパントリーとしてのみに
使われてまして、グッズや飲食物の販売はナイようです。
そんな感じで始発駅の美濃太田を発車して程なく、お料理の前菜と
重箱が運ばれてきました。メニューなども先に配られています。
ぁ、ビール(緑色の瓶)は別料金ですよ。
…ドコまでが前菜でドレがメインなのか分かりにくいのですが、一番
大きなやつは「和宮内親王の玉手箱」というタイトルが付いてますな。
徳川家茂に嫁いだ皇女和宮の事?…調べてみるにお嫁入りで江戸へ
下る時、中山道経由で御当地の美濃加茂市(太田宿)も通ったそうな。
些か「こじ付けがましいかな?」と思いますが、ウケれば良しだろう。
記念乗車証(と思しき葉書大の紙)は裏がスタンプ捺し用のスペース
になってました。…忘れないうちに捺しておきます。
カードに予約者の名前が入り「あけましておめでとうございます。」と
細やかなサービスですがもぅ13日ですからねー、ちょっと微妙。
…基本的に金・土・日・祝に運転される同列車ですが、ホントは前日の
12日に乗りたかったんですよ。
私もココは世間並の3連休だったので12日に観光列車「ながら」に
乗ってから終点まで行って北濃の駅ノートを描き、戻って岐阜辺りで
1泊して13日に浜名湖佐久米の駅ノート…と考えてました。
で昨年末の27日ぐらいに同社の予約専用電話に掛けたら(申し込み
は今時電話受付のみ!)、「11日と12日はお客さんが居ないので運休
と決まりました」とか言われてしまったんです。…締め切り早くね?
と私は「英毅」という名前の漢字を説明するのが今だに面倒なの。
仕方ないから上記の3つの予定を全部分割して、観光列車「ながら」
は13日に決めました。…受け付けが折角電話だから「12日、『やっぱり
走らせます』とかナイですよね?」と念を押してやりましたが。
そして年内に振り込み用紙が送られてきて、指定の口座に入金したら
更に「乗車証」が送られて来るという、アナログな仕組みです。
…銀行振込も用紙を窓口へ持って行くケースは減ってるだろうな。
そして乗車証、当日の持ち物としてコノ書類が要るのは当然として、
常備薬や保険証は大きなお世話でしょう。…尚且つ同封されている
フリー切符は持って来なくてイイのか?
色んな意味で乗る前から退屈しない観光列車「ながら」ですが、列車
は快適に郡上八幡に向かって走ります。…照ったり曇ったりのお天気
ですが、お料理と車窓風景を楽しむ事にしましょう。
当日の乗客数は私が申し込んだ時で私を入れて4人。後にもぅ少し
増えたようですが全部で10人ほど?
連休の割に意外と空いてます。てか前2日はゼロで運休だったし。
申し込み時に長良川鉄道のホームページで確認したんですが、コレ
また意外と金曜日が混んでて満席の週もあるんですよ。
…何となく察しは付きますね。何とかツーリズムの団体さんでしょ。
では先にメインのお料理が入った重箱の全体像を記録しておきます。
…コレさえ終われば食べれますので。
一品が小さくて色んな種類が揃えてある和洋折衷の懐石料理と言う
所でしょうか?…カナリ上品な感じですので、あまり腹の足しには
ならないかも知れず、どっちかってと酒飲み向けかも知れません。
折角なので私もビールを頂いております。こう言う機会はイイよね。
そして列車は長良川鉄道の本社と車庫のある関駅に到着しました。
同社も北条鉄道と同じく、20年物の前世の代気動車が主力なのです。
…単線なので幾つかの駅に停車しますが、乗り降りが自由なのは前方
の車両を使う「ビュープラン」のみです。こちらの「食事付きプラン」は、
郡上八幡まで乗り降りは出来ません。
長良川鉄道には社員旅行でも乗りましたが、当時は車庫見学が必須
ではなかったからココでは降りませんでしたね。…意外と加速が良くて
撮り損ねましたが、駅員さんが手を振ってお見送りして下さいました。
続いて美濃市駅です。駅ノートと保存車両がある旧名鉄の美濃駅は、
駅前通りを200mほど行った所にあります。
…暖かくなったらココもまた2枚目を描きに行かないとね。
発車後に最後尾から撮った駅の印象は、意外と小さな感じでした。
考えたら美濃市でも降りた事が無かったので、次回の美濃の駅ノート
はココまで鉄道利用で来るのがイイかも知れません。…長良川鉄道も
美濃市までは区間運転が多いのです。
美濃市を出ると段々と市街地を抜け、田園風景が広がって長良川が
寄り添うように見えてきます。幾つかある鉄橋の上では、お約束
の徐行運転が行われますよ。
…私はビールに続いて白ワインを頂いております。続いてのお料理が
出てきました。
…お品書きによると「飛騨牛のしゃぶしゃぶ コンソメと共に」となって
います。コレが肉料理だからメインなんだろうと思ってたんですが、
カナリ慎ましやかな物でした。
ぃゃ、量に不満があるのではなく、スープ仕立てになってるから順番的
に不自然な気がするのと、コレ用のスープスプーンを最初から置いて
あるので、前菜のムース用かと間違えたんですよ。些かカッコ悪いわ。
続けて御飯物と漬物が来て、コースは概ね終了になりますかね?
列車は相変わらず、長良川が線路に寄り沿ってますので、何度か鉄橋
を渡って走ります。川で言うと上流の方向へ進んで行く事になります
ので、段々と幅が狭くなり雰囲気も変わってきたように思えます。
社員旅行で途中下車した、駅に温泉施設が併設されているみなみ子宝
温泉は通過でした。
…あの時、社長が脱いだばかりのストッキングを「要らない?」とか
言われたんですよね。何で貰っとかなかったんでしょう?
そして列車は、大矢という途中駅に停まりました。上下交換のために
10分程の停車時間があるとの事で、ココの駅にある小さな資料館が
見学出来るようになっています。
…観光列車「ながら」では唯一、車外へ出れる駅ですね。車両にトイレ
がありませんので、行きたい人はココで済ませておきましょう。
岐阜県は江戸時代の仏師だった円空の出身地とされており、駅には
円空が掘った仏像に似せた彫像が置かれています。
…荒々しく素朴な感じの作風は私は意外と好きなんですよ。機会が
あれば真似して彫ってみたい所です。
では続けて、駅舎内にある「ふるさと鉄道館」を見学させて頂く事に
しましょう。…長良川鉄道には確か、郡上八幡駅にもソレらしい施設
があったと思うんですが、後でソレとの繋がりが分かります。
まず入口には歴代の観光列車のヘッドマークがありました。
…「清流ながら」ってのは確か、国鉄時代からやってましたよね。
観光列車そのものが当時としては珍しかった記憶があります。
室内は元々は有人駅の駅務室だったであろうスペースが、資料館に
改造されておりますが、よくある感じの展示内容ではあります。
…お約束のタブレット閉塞機があって、荷物用のハカリは隼駅で見た
やつと同じタイプの物だと思われます。
その他、出札口の設備として昔は一般的だった硬券を収納するやつ
(正式名称を知りません)や各種の看板など…大きい物や固定してある
物はイイとして、制帽なんかは盗まれたりしないのか?
…しかしコレだけの物がこの駅に残されてたなんて、全く知らなかった
ワケですが、先に言ってしまうと恐らく以前に郡上八幡駅で見た物が
そのまま移されてる感じなのですよ。
後で現地に着いて分かったのですが、以前に郡上八幡駅にあった
「ふるさと鉄道館」は、スペースが別の用途に改装されてました。
…だからココに移転したような事情だと思われます。
で、そろそろ列車に戻るワケですが、折角なので前方に連結されてる
「ながら・森号」も見ておきましょう。…この列車では料理が出ない
「ビュープラン」として、プラス510円の乗車整理券で乗車が可能です。
やはり車内も水戸岡デザインに統一されてますが、テーブルつきの
ボックスシートは左右両方が4名掛けです。ロングシート部分が
ソファーなのも似た感じでした。
壁面にハサミやピーラー(皮むき器)などが飾ってあるのは、沿線の
関市が刃物の産地として有名だからでしょう。…てか包丁やナイフ
以外の刃物まであるとは想像してませんでしたわ。
こちらの車両もソレほど混んでませんが、その少ない乗客の大半が
中国人なのよ。…コイツらに事前の電話予約が出来たとは思えない
ので、行きあたりばったりで美濃太田まで来て乗ったんでしょう。
つくづく車両が別で良かったなと思いますが、観光列車「ながら」の
旅もそろそろ終盤でしょうかね?
美濃太田から何度か長良川を渡ってきた中で、恐らくココが一番の
お薦めと言う事なのか、一時停止のサービスがありました。
…やはり観光列車はコレが可能な田舎のローカル線に限りますね。
出発時は陽射しが強いぐらいのお天気だったものの、段々と雲行き
が怪しくなってきましたので、山間部は雨が降ってるのかも知れず、
長良川の流れも白波が立つほどの速さになってました。
車内では最後にデザートが出て、コース料理は終了です。
…お皿には地元産の干し柿なんかも載ってますが、甘い物を出して
おいてコーヒーは別料金なんですね。上手い商売だと思います。
例によって私はワインのボトルを記念に持って帰ろうとしてたワケ
ですが、色々と立ち歩いてるうちにコルクの栓を回収されてしまい、
迷惑ながらゴミ箱から探して貰う羽目になりました。
…気の回るアテンダントさんたちですが、一言訊いて欲しいかな。
そんな感じで終点の郡上八幡に到着、約1時間30分の旅でした。
観光列車「ながら」のランチプランはココまでですが、ビュープラン
の方は車両を減らしてココから先の北濃まで走ります。
…最初はこのまま乗り継いで、北濃で駅ノートを描く予定だったのよ。
しかし私は酒が入ると手元が怪しくなりますから、結果的には分けて
正解だったかも知れません。
先日乗ったあいの風とやま鉄道の「一万三千尺物語」では、お土産の
有無がコースで選べたワケですが、こちらは全員に貰える品物がある
ようです。HPに書いてあったかな?見落としてたかも知れませんが。
…意外と重いなと思ったら中身は何と、さっき車内で頂いたワインと
同じ物でした。しかも赤白セット。
先に分かってたら、空いたボトルを持って帰ろうとは思わなかったん
ですけどね。てかわざわざオーダーしてまで飲みません。
…以下おまけ。
郡上八幡駅で約1時間待って、帰りの上り列車の時刻となりました。
ちなみに帰りは同社線内は観光列車「ながら」に付属するフリー切符、
JRは適当な優等列車がナイので、快速などを乗り継いで京都まで
帰ります。場合によっては米原から新幹線ワープもアリでしょう。
…入線してきた車両が、コレまたえらく派手なラッピングですね。
アニメの「チャギントン」のキャラクター(車両)などが描かれてます。
チャギントンの列車と言えば岡山の路面電車が有名ですが(アレも
そろそろ空いてきたと思うのでネタとして狙い目)、長良川鉄道でも
走ってたんですね。
車両の外も中もエラい事になってます。出てくるキャラクターの印象
(ってか車両デザイン)からしてアメリカの物だと思ってたんですが
調べたらイギリス制作なんだそうな。
「きかんしゃトーマス」が20世紀初頭ぐらいの話だとすれば、こちらは
近未来なのかな?自動車が登場しないぐらい鉄道網が矢鱈と発達
した世界の設定のようです。
…私も家族が居て子供が小さい頃に少しだけ見た事がありますが、
見ての通り鉄道を題材にした作品で「チャギントン」は日本語で言う
所の「ガタンゴトン」みたいな擬音語だと聞いた事があります。
アニメーションってもCGで絵を動かすやつなので、無駄にクネクネ
した動作が多いと言うのか、大人が見ると疲れるのは事実。
しかし車体や内装の壁はシール状のラッピングで何とかなるとして、
座席のモケットはプリントされた物に張り替えないと無理でしょうね。
…キャンペーン期間が終わったらどぉするんでしょ?
所で長良川鉄道では、運賃の支払いに電子マネーの「paypay」が
導入されています。…個人的には名前の響きが中国語っぽくて嫌い
なのですが、ソレは置いといて鉄道会社ではあまり聞きません。
他に使ってる会社はありますかね?
鉄道車両にはバーコードを読む機械がナイので、QRコードをスマート
フォンのカメラで読み込む方式でした。タクシーと同じだな。
短かい1日のうちに色々とシーンが変わる感じの旅で、尚且つ車内
で頂いたワインが効いてて、些か疲れた長良川鉄道の旅でした。
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