2019年8月下旬、以前から気になってたJR四国の豪華な観光列車
「四国まんなか千年ものがたり」に乗ってきました。
同列車は基本的に金・土・日・祝の運転です。…だったら金曜日が
一番空いてるだろうと言うアタマで予定を決めたんですが、仕事の
シフトの都合で日帰り弾丸ツアーです。
新幹線と特急「南風」を乗り継いで、お昼過ぎの大歩危駅に到着、
ココから報告を始めましょう。
…大歩危駅にも駅ノートがありますがも今回は30分しか時間がなく、
発車15分前の1405にはドアが開くと言う事なので「存在を確認する
だけ」でした。
下り便で着いた車両がそのまま留置されてるので、外観などを撮ってる
うちに車内の準備が出来たようです。早速乗せて頂く事にしましょう。
形式としてはキハ185系。中間車を含む3両編成です。…中古車改造
がデフォルトの観光列車ですが、思い切って特急用車両を起用した
所が評価出来ると思います。…てかキハ47もそろそろヤバいのか?
階級としてはグリーン車、列車種別は特急のフルオプションですな。
逆に珍しいと思うんですが、ソレぐらい儲けてもいいと思います。
私が買った切符は大歩危寄り、緑色の1号車でした。
…乗車口にオリジナルのマットが敷かれて、アテンダントさんが迎えて
下さるのは「伊予灘ものがたり」と同じ感じですね。
1号車には「春萌(はるあかり)の章」と言う名前が付けられています。
…ボックス席とカウンター席を交互に配置したレイアウトで、椅子の色
が車体と同じ緑色になっていました。
内装はシックな濃い色の木材が使われています。照明も無駄な明るさ
がなく、間接照明がイイ雰囲気を出しておりますよ。
改造は四国なので多度津工場。…社長がイベントに呼んで貰ってた頃、
何度か見学させて頂きましたね。平成29年だから、何だカンだともぅ
2年もやってるのか。
天井はに囲炉裏をイメージした格子があしらわれており、窓のブラインド
もすだれっぽい和風のデザインでした。
最近の鉄道は高速化と合理化ばかりが目立ち、魅力ある定期列車が
減ってる気がするんですが、各地で特色を出した観光列車が増えてる
事に関しては「いい時代になったな」と思いますよ。
網棚がナイので、荷物スペースとして随所に違い棚のデザインになった
ラックが置かれています。
…コンセントがココの中に隠されてるかのように存在するんですが、
数が少ないので「早い物勝ち」になりそうな雰囲気ですね。
では折角ですから、大多数のお客さんが列車の外観に気を取られてる
うちに、他の号車も画像で押さえてしまいます。
中間の2号車は車体の左右で塗装が違います。青い方が夏、白が冬
を表現してるのだそうな。
で多度津寄りが3号車、赤い塗装で季節は秋です。
各号車のドアは片方のみが残されており、大きな窓がタテに2枚ある
部分はドアに見えますが開きません。…キハ185系は元々折り戸だし。
ちなみに「平日だから空いてるかな?」と思ったんですが、ギリギリ
の時刻に陸橋の上に停まった観光バスから団体さんが降りてきて、
席はソコソコ埋まってしまいました。
2号車には「夏清(なつすがし)の章」と言う名前が付けられています。
大きなテーブルと2名掛けのシートを片方に寄せた構造で、大歩危
寄りにはサービスカウンターが設置されいてました。
…窓のブラインドが閉まってたら、お洒落な小料理屋さんみたいで、
とても列車内とは思えない風景ですな。
2号車の多度津寄りにはバリアフリーのトイレがあります。
で、こちら側の車内扉には「冬清(ふゆすがし)の章」と言う名前が。
…3両編成で四季を表すので、中間の2号車が夏冬兼用なのですが、
ドノように切り替えてるのかは不明です。
手洗い場は陶器の鉢を利用した物
だったり、御当地の特産品を展示
するショーケースがあったり、
この辺は他の観光列車と共通する
見せ方だと思います。
…何より水戸岡デザインでナイのが
逆に斬新と言うか、ソレに拘らずとも
色々出来るじゃん。と感じる所です。
3号車が秋、「秋彩(あきみのり)の章」と言う名前の車両です。
…インテリアとしては1号車と共通した感じでしょうが、椅子の色が
オレンジ色に変えられており、コレだけでもイメージがカナリ違ってくる
感じです。
と言う事で車内の様子は大体押さえる事が出来ましたかね?
なるべく人物を入れずに15分でココまで記録するのは大変でしたが、
そろそろ発車時刻のようです。
所で切符の件ですが、今回も人気の観光列車なので1か月前の発売
直後に地元の中規模な駅のみどりの窓口へ買いに行きました。
…奈良駅は外国人と老害で溢れてるので、もぅ使いたくナイのです。
よく分からず、申込用紙に「四国まんなか千年ものがたり」と書いて
窓口に出したら、そもそもマルス端末の操作すら怪しそうな年配の
駅員さんが「ハァ?何じゃコレ?」みたいな反応をするんでよ。
「四国まんなか千年ものがたり」ってのは車両の名前であり、列車名
としては下りがソレに「そらの郷紀行」、上りが「しあわせの郷紀行」を
加えた名称になるらしいです。
…そんな長ったらしいの書けるかい。しかも最初は下りを取ろうと
したら既に満席だったので、第二希望として上りにしたワケですよ。
上下で列車名が違うから、用紙に書くとしたら余計に手間ですね。
以上のような苦労を経て、何とか2名掛けのテーブルを確保しました。
相席者はナイので気楽に使えます。
各テーブルに時刻表にお料理のタイムスケジュールを載せたパンフ
レットと、手描きから印刷した沿線案内の冊子が配られております。
…多度津まで2時間と55分ですか。同区間を走る特急「南風」が遅く
ても55分、通しで走る普通列車で2時間弱なので、普通列車より遅い
ワケですよ。別にイイんですが一応は「特急」でしょ?
まぁ折角、景色のイイ所を走って豪華なお料理が出るんですから、
コレぐらいのノンビリさが正しいのだと思います。
長らく引っ張りましたが、ようやく発車となりました。地元大歩危の
例の妖怪法螺吹き隊のお母さん方がお見送りして下さいます。
…加速もゆっくりなのでしっかり鑑賞…する必要はあるのかしら?
そもそもがダイヤの薄い区間の事であり、前後に他の列車もナイの
でしょう、普通列車より遅い感じの速度で走ってます。
吉野川の対岸にある「道の駅」から、地元のカッパさんと観光客の
方々が手を振ってました(アテンダントさんが放送で教えてくれる)。
…てかこのカッパ、ちゃんと確かめたワケじゃないけど妙に平面的
と言うか、カキワリじゃないの?
ともあれ多度津まで約3時間、今回もカナリ楽しめそうな予感ですよ。
まず大歩危駅を発車して最初の見所が例の第二吉野川橋梁です。
…私の席がある1号車は、大歩危寄りなので最後尾ですが、折角
なので先頭車まで行って見てみましょう。先頭部は車掌側の壁を
取り払った状態で、展望が利く構造になっています。
コレでもかと徐行するので、先日泊ったサンリバー大歩危の建物も
しっかり確認する事が出来ました。…改めて説明すると、各部屋の
位置は右の画像のような感じになります。
鉄橋を渡って吉野川が車窓の反対側に移ると、小歩危の谷間部分に
入ります。小歩危駅では上下交換のため、カナリ長く停まってました。
一般的な特急列車では、自動放送で簡単な観光案内が流れるものの
カナリの速度で通過して行きますから、ゆっくり見たのは初めてかも
知れません。こう言う所が観光列車ならではの特典ですよね。
そして最初の停車駅が、小歩危の次の阿波川口と言う駅でした。
…ちなみに途中停車駅とは言っても、乗り降りは香川県に入った琴平
と善通寺に限られています。
ココは「乗客が列車外に出れる」と言うだけの話、15分停車します。
…初めて降りましたがココは「妖怪たぬきの郷」と言う事になってる
らしいです。阿波地方には河童だの児啼爺だのと、矢鱈と妖怪伝説
が多い所へたぬきですか。
そう言えば、公園に巨大なたぬき像があった小松島も徳島県だわな。
…駅舎も見ての通り、たぬきのデザインです。そして地元の皆さんが
妖怪たぬきの着ぐるみでお出迎え。このデザインは誰が考えたのか?
駅前では地元の皆さんが、特産品の販売を行っておりました。
左端は最初に妖怪たぬきの着ぐるみで迎えて下さった男性ですが…
あっさりアタマ脱ぐなよ!…一気に中国クオリティじゃないですか。
ともあれ時間がソレほどありませんので、ホームの方なども撮って
おきます。ちなみに発車する時は、アテンダントさんが鐘(商店街
の福引の大当たりみたいなの)を鳴らして合図してくれるとの事です。
駅務室らしき所の窓にも、妖怪たぬきの張り子のお面などが飾れて
いました。…アタマだけと言うのが何ともシュールですが、だからコレ、
誰のセンスでデザインしてるのさ?
と倉庫が開けっ放しだったので覗いてみたら、他にも衣装などが多数
確認出来ます。フル動員したら何人分になるんだか。
色々と謎の多い阿波川口駅を後にして、車内ではそろそろお料理が
配膳されております。
木製の箱に3段重ねになったお弁当スタイルですが、コレは「遊山箱」
と言う物で、昔の当地の人たちがお花見などの行事に持参したのを
再現した物なんだそうな。…内容がココまで豪華だったか謎ですが。
ランチョンマットも藍染めの御当地物で、飲み物は地ビールが注文
出来るので、コレも併せて頂く事にしましょう。いや豪華豪華。
ココまで線路に寄り添う感じで流れていた吉野川は、阿波池田の手前
で向きを90度東へ変えます。
…前日までが結構な雨で、川が些か濁ってました。当日もお天気の
心配はありましたが、何とか降らずに保ってて良かったかな。
そんな感じで路線の要衝である阿波池田駅に到着。…大歩危を出て
ココまで1時間と言うノンビリさですが、お料理もゆっくり頂いていい
ようなので、また車外へ出てみましょう。
改めて言いますが一般的な特急列車なら20分弱、普通列車でも30分
程度の距離ですから、カナリの鈍足…ぃゃノンビリした走りですな。
駅舎から最も遠い5番線に入りましたが、全てのホームに何らかの
列車が入ってると言う賑やかな状況です。…土讃線の上下の特急と
徳島行きの普通列車が接続するダイヤなのでしょう。
特急は上りのアンパンマン列車が特急「南風20号」、下りが同じく
「南風13号」です。
10分停車なので、まずはピカチュウ親方と約束した「駅蕎麦屋は
どぅなった?」を探りに、跨線橋を走って改札口で訊いてみました。
…結果は当日にメールした通りですが、2年ほど前に閉店して後に
コンビニ(セブンイレブン)が出来た模様です。そりゃ残念。
そんな感じで5番線の列車に戻ると、駅員さんとアテンダントさんが
記念写真を勧めて下さいましたので、用意されてた助役帽と法被
をお借りして1枚。…こう言う状況を想定して白シャツにして正解。
再び発車してお料理に戻りますが、もう1種類の地ビールも追加して
しまいました。…アテになる食材が多くて酒が進むわ。
最初に注文した方の地ビールは車両がデザインされたラベルだった
ので、持って帰ろうとしたらアテンダントさんが「お包みしますよ」と。
…こんな事を言われたのは初めてです。行き届いたサービスですね。
土讃線は再び吉野川を渡ると、大きく左に180度の弧を描いて県境を
越える山間部に入ります。
…その手前の田んぼで、カカシと一緒に手を振って下さってるのが、
今回のお料理を提供しているお店の皆さん。そして白いコートの方が
料理長さんなんだそうな。上手い演出だと思いました。
このタイミングで、お土産品やオリジナルグッズの販売が行われます。
…アテンダントさんが持って回るサンプルを見て注文し、最終区間で
お会計と引き換えに渡して貰うシステムでした。こりゃスマートな。
そして次の停車駅が、四国随一の秘境駅である坪尻。…私はもぅ何度
も訪れてますので特に珍しいもんではありませんが、皆さんと一緒に
ゾロゾロと降りてみました。
観光列車とは言え「特急列車が停まってる」と言う状況が笑えますな。
普段なら単行の普通列車が停まるだけの駅ですが「四国まんなか…」
は3両編成。坪尻駅のホームは地図アプリの航空写真で測ると約90m
でした。…4両分は確保してあるワケですが、普段なら入らない位置
まで車両が来るワケですよ。
車内が禁煙なので、喫煙者の方には貴重な「煙草タイム」でもあるの
でしょうが、そもそもこんな所に喫煙スペースがある事自体、今回
初めて知りましたクラ駅長です。…いつもこんな所まで来ないもんで。
ワンマン運転の普通列車のために嵩上げしてある位置には、辛うじて
3号車の乗降口が掛かる程度かな?その他の箇所はカナリ低いです。
こんなイベントでも無ければココまで人が居る事は滅多にナイ駅です。
…私も5人以上の人が居るのを見たのは初めてかも知れません。
停車時間が7分と短かいので、駅ノートも「存在をチェックする程度」
ですね。折角だから、自分が描いたページを広げて置いておきました。
上り列車なので、坪尻を発車後に引き上げ線の方に入ります。
ココだけ1号車が前になりますが、運転席付近の壁を取り払ってある
ので、前方の景色がよく見えました。…まぁ見慣れた風景だけど。
…アテンダントさんからの放送で、スイッチバックについての簡単な
説明が為されるワケですが、どの程度の理解率なんでしょうね。
車内の前後を移動する運転士さんには、何故か拍手が贈られてました。
引き上げ線に入り切った所で、車窓の東側に滝が見えるんですよ。
…コレまた案内放送で教えて貰ったワケですが、普通列車ではこんな
案内はナイので、初めて知りました。そう言えば音は聞こえるわな。
車内はお料理が終わって、食後のコーヒーとスイーツの時間です。
峠を越えると香川県に入ります。次が讃岐財田駅ですが、地元の家族
さんがお出迎え。…割愛しましたが沿線では、このようなサポートが
随所に見られました。
アテンダントさんの案内で、駅前にある樹齢何百年かの大木を見に
行く時間も取ってありましたが、コレは前に見たのでイイかな。
ようやく平地に入った感じで、列車の速度も少し上がったようです。
ココから琴平までのタイミングで、お会計の伝票が回ってきました。
発券された紙の伝票は、オリジナルのホルダーに入っています。
…コレをお土産に欲しいぐらいの所ですが。そして明細と計算は
アテンダントさんが持参するタブレットで。…今時の感じですな。
明細に「ビール瓶お持ち帰り/0円」なんてのがあるのが、ニーズ
を見透かされてる気がして少し恥ずかしく感じました。
そんな感じで琴平に到着。言わずと知れた金刀比羅宮の門前町です
ので、バスツアーの団体さんを含む半分以上のお客がココで降りる
感じでした。…私は終点の多度津まで乗りますが。
到着時刻が16時31分なので、これから旅館に入ると丁度いい感じ
でしょう。また「四国まんなか…」はコレだけノンビリ走ってるワケです
から、再びバスに乗るにしても、回送する時間は充分だわな。
提供されたお料理の什器や各種備品などはココで降ろし、アテンダント
さんの何人かもココで下車するようです。
後で分かったのですが「四国まんなか…」の営業本部と言うか事務局
と言うか、の施設は琴平駅にあるんですよ。
だから実際は琴平を始発にしたかった所かも知れませんが、本州から
のアクセスを考えるとギリギリの地点で多度津になる。
ソレがこの列車が高松発着しない、中途半端さの理由だと思われます。
ともあれ琴平駅には「四国まんなか…」の乗客専用ラウンジがある
と言う事で、先程「フェアウェルサービス引換券」なる物を頂きました。
ラウンジはホーム側、改札外の両方から入れますが、途中下車として
改札を出て、久し振りに琴平駅の駅舎も眺めてみましょう。
洋風デザインの木造駅舎で、コレまた文化財指定を受けています。
「四国まんなか…」専用のラウンジは「Taiju(大樹)」と名付けられて
おり、車両やグッズなどと共通する大木をデザインしたエンブレム
が飾られています。
…ゆったり列車を待てる空間であり、下り便はウエルカムドリンクが
出ると言う事で、やはり実質的な始発駅はココなのかな?と思わせる
雰囲気ですね。
上り便で頂いたのはミカンのシャーベットです。…恐らくデザートに
相当するのでしょう。些か飲みすぎの口にサッパリして美味いです。
と言う事で最後は「おまけ」と言うには勿体無い、多度津までの最終
区間の報告で、今回の旅も終了となります。
停車駅を一般的な特急に合わせてあるのか、善通寺にも停まります。
…観光列車の洒落た車内から見ると、風景も違って見えますね。
今までに乗った中で、カナリ高位置に来るイメージの列車でした。
最後にアテンダントさんが、持って帰るビール瓶を丁寧に梱包して
渡して下さいました。…ココまでしなくても大丈夫ですが。
そして客の1人1人に「如何でしたか?お腹一杯になりました?」とか
声を掛けて回ってました。
…ホントにサービスが行き届いてて「頑張ってるなー」と言う印象なの
ですが、やりすぎると「この後、一杯どぉ?」とか勘違いするオッサン
が出てきそうで心配です(要は「頑張りすぎ」って事)。
そんな感じで終点の多度津に到着。実に2時間55分の長旅でした。
「四国まんなか…」の車両は恐らくこの後、ココから高松の車両基地
まで回送されます。運転士さんも交代しますが、営業列車の人(左)と
これから乗ろうとしてる人(右)では制服が微妙に違うんですよね。
…同列車を担当する乗務員さんは、車掌さんも含めて藍染めの
オリジナル制服を着用するんだと説明がありました。比較の絵が、
ようやくココで撮れた感じです。
今回はシフトの関係で、このまま奈良まで帰る弾丸ツアーですが、
四国も続けて来ると遠さを感じなくなってしまいました。
…高知の方(また予土線らしいですが)でもまた新しい観光列車が
企画されてると言う事で、今後の展開が楽しみでもあります。
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