2016年9月。山口線の「SLやまぐち号」に乗車した翌日、新山口から
新幹線で新下関へとやってきました。
新幹線の改札から長ーい通路を歩いて、山陽本線のホームへ降ります。
下りの下関方面行きのホームの一角に「みすゞ潮彩号」の乗り場が
ありました。…「みすゞ潮彩号」は、まずココが始発で下関へ向かい、
スイッチバックして山陰本線に入るという走り方をします。
…無理矢理のように1区間だけ山陽本線を走るのは、やはり新幹線
からの乗り継ぎを考慮してあるのでしょう。実際の分岐駅である幡生
は通過するので、幡生経由の乗車券で下関まで行って折り返しても
いい特例(の筈)ですよね。
そして停車位置ですが、このようなオリジナルの停車目標と乗車位置
案内があるのがちょっとヒネクレておりまして…
JRの古い駅はドコでも、最近の電車に合わせてホームの高さを嵩上げ
してあるもんですが、ソノ嵩上げがされていない端っこの低い部分に
「みすゞ潮彩号」が停まるようです。
…気動車の方が総じて床が低いモノだし、混雑時の整理にも役立つ
って感じかな?ソレなりに考えてあるんだなと思いました。
そろそろ到着時刻のようですが、ココは構造的に途中駅なので停車時間
も然程ナイでしょう。まずは車体全体が撮れるように準備しておきます。
30分ほどの待ち時間の末、いよいよ「みすゞ潮彩号」がやってきました。
…社長がブログで「みすゞちゃん、相変わらずメイク派手だね。」と評した
ように、派手な印象の車体ですね。いくら「大正ロマン調」を拗らせても、
このようには行きつかないと思うのですが。
列車は2両編成で、現時点で後方にある2号車が、私が乗る指定席車。
前方の1号車が自由席車です。自由席は地元の利用者用なんでしょう。
ってか、新幹線からの接続を考えての「新下関始発」な割りに、ココから
指定席に乗ったのは私だけ!…もしかして今日はガラ空きなのか?
という事で次の下関まで9分かかります。恐らく下関から沢山乗るだろう
から、空いてるうちに車内の写真を撮りまくっておきましょう。
指定席のインテリアはこんな感じ。すべての席が海側に向くように配置
されております。…ソレはいいとして、やはり取れるなら海側…つまり
この画像で言う左側に座りたいワケで…指定券を買う時に苦労しました。
車番と定員は上の通りです。やはり「欧風なモノは700番台」の伝統なの
ですが、ココは7000番台まで飛んでますね。ちなみに7001と7002は広島
地区の「瀬戸内マリンビュー」の車両のようです。
定員は44名。…指定席だから立ち席分を考慮してナイだろうし、間隔も
広くとってあるから当然でしょう。一般的なグリーン車より少ないとは。
改造は平成19年ですか。初めて乗ったので新鮮な印象ですが、もう10年。
しかしインテリアを大幅に改造して、後付けクーラーと扇風機はそのまま
なんですね。このギャップに笑えました。
指定席車の前側はドアが埋められ、ココまで座席が延びておりますが、
時々窓の形が違う部分があります。…コンセプトはよく分かりませんが、
取り敢えずお洒落な印象ではありますね。
車端部分に、数少ないボックス席が
あります。…座席番号ってのは普通は
ボックス単位でABCDとなってるモノ
ですが、「みすゞ潮彩号」に関しては
ソノ原則から大きく外れており、B席と
C席が存在するのがココだけという事に
なるんですよ。
詳細は後日に前説でやりますが、この
変則さが、切符を取る時に困りました。
ドア付近も、沿線の駅がイラストで紹介されてる案内図があったり、
ナニ調というのか分からない模様が描かれてたりします。
先ほどの車端部の向かいには売店があり、お菓子や飲み物、グッズ等
を買う事が出来ます。…コレは下関で折り返してからの営業でした。
後で紹介しますが駅弁も「幕の内」の1種類だけですがあります。
…数が限られるだろうし、折り返しの長門市や仙崎での積み込みは
ナイから、帰りの便だと売り切れたりするかも知れませんね。
コレまた「大正風」という事か、黒いメイド服のお姉さん(へきゑ似)が
居ましたが写真は拒否されました。と、ビールが売ってないのが盲点!
…「売店がある」という事で、すっかり安心してたんですよね。
ともあれ、そろそろ次の下関に着くようです。
続いては自由席車両を見てみましょう。 車番は指定席車両と連番で
7004、定員は142名だから、オリジナルと変わらない感じですか。
ってかスゴい!超オリジナル!…外装は勿論、指定席車とラッピング
でデザインを揃えてありますが、室内はドコをどう改造したのか
サッパリ分からんぞ。
…2両編成でココまで格差を付けた観光列車ってのも初めて見ましたが
もう少し何とかならなかったもんなんでしょうか?
そんな感じで新下関を出た「みすゞ潮彩号」は、山陽本線を走って下関
に到着。ココで13分停車して進行方向を変え、山陰本線に入ります。
主な停車駅には、それぞれ形の違う特製の駅名標と、金子みすゞの詩
を掲示した看板がありますよ。
ココでも「みすゞ潮彩号」は、ホームが嵩上げされていない低い所に
停まります。と言うか、山陰本線に入る気動車はみんなココのようです。
停車時間が長いので、車両の外観などはココでマトメて撮りました。
…しかし下関って、元々は多くの長距離列車が行き交う駅だったのに、
最近はホントに寂しくなった印象ですよね。13分ではビールを買い出し
に行く時間もなく(ホームの売店も今はナイでしょ)、今回は酒なしの
健康的な乗り鉄になりそうです。
…九州からの接続列車が遅れてるようで、その連絡待ちなんですね。
昔ながらの大きな丸時計や、長くて広いホームには得も言われぬ旅情
を感じますが、もぅココまでの規模は必要ナイというのが寂しいハナシ。
前回の記事で「ホームに売店がナイ」という事を書きましたが、何年
か前までは蕎麦屋と一体化した売店があったようです。
ふく(河豚)の天ぷらを入れた饂飩が名物だったらしいですね。
そんな感じで3分ほど遅れての発車。山陽本線を幡生まで戻り、ココ
から山陰本線に入ります。
恐らくは小倉まで新幹線で来た感じの乗客が多数加わり、指定席は
9割程度の埋まり具合いとなりました。
…幡生と言えばJR西日本の下関工場です。数々の魔改造車を作って
きた面白い所だというイメージがですが、何だか珍しい車両が置いて
ありました。資料によると元可部線の車籍のないクモハ11のようです。
「みすゞ潮彩号」は観光列車ではあるものの、山陰本線内では普通
列車なので、各駅を拾うようにして走ります。…平日は同じダイヤで
一般車両を使っての普通列車が走るし、完全オリジナルな自由席が
ある事から、地元利用も考えた存在である事が分かりますね。
幾つかの駅で上下交換がありますが、外に出て写真を撮れるほどの
停車時間はナイかな?
川棚温泉を過ぎる頃から、進行方向の左側に海が広がりました。
…私の席はソノ「海側」なんですが、元はロングシートがあった小窓
の部分です。外の風景に露出を合わせると車内が黒く潰れるから、
ちょっと見た感じ個室っぽく見えませんかね?
所で下関を発車と同時に、アテンダントのお母さんから記念乗車証と
沿線のパンフレットなどが配られておりまして…
パンフレットの地図を見ながら車窓風景を楽しむ事が出来るように
なっております。…コノ歳でも相変わらず私は「海が珍しい」んですよ。
「ビュースポットでの一旦停止」は観光列車の「お約束」となって
しまった感じがしますが本来なら、こんな目的で無暗に列車を止める
べきではナイんでしょうね。
…国鉄時代はどうだったんでしょう?高千穂線の高千穂橋梁ではヤミ
で「サービス」としてやってた運転士さんが居たらしいですか。
そして私の恒例ネタは「停止位置目標を撮りに行く」事。
途中駅で降りる人が何人か居たので、適度に空いてきました。
空いてる席に移動したりしつつ画像ネタを集めておりますが、窓の形
が変わると景色の切り取り方が変わって面白いもんです。
夫婦岩のようなモノもありますね。…日本人は何故、大小2個並んだ岩
を見つけたら勝手に夫婦にするのか?先が丸い岩と割れ目のある岩を
見つけたら勝手に「子孫繁栄ネタ」にするのか?
社長の楽曲にも登場する「特牛=こっとい」ですね。…どう考えても、
知識がなけりゃ「とくうし」としか読めません。私の脳内には牛丼の特盛
みたいなモノしか浮かばないワケで…腹が減ったので駅弁を頂きます。
…先程、車内の売店で1種類しかなかった幕の内弁当ですが…えーと。
「北九州の美味しさをお届けします」?
どうやら小倉駅で販売されてるモノが運ばれてきてるようですよ。
そうか、今では下関も門司も駅弁を扱っておらず、最寄りが小倉になる
という事なんですね。…会社を跨いでまで駅弁を確保してあるという事は
ある意味感動的ではあります。
そんな感じで乗っていると、何やらレクリエーションが始まる模様です。
アテンダントのお母さんの指示で、海側に向いていた座席を90度回転
させ、進行方向に向けます。一体何が始まるんでしょう?
…拍子木の音とともに始まったのは紙芝居でした。
このアテンダントのお母さん(掲載許可を得ています)は、下関の紙芝居
グループのボランティアさんだそうで、車窓に見える風景の解説をしつつ、
上下それぞれの列車で1回ずつ、紙芝居の上演をするんだそうな。
手作りと思しき拍子木用の巾着がカワイイです。
仙崎行きの列車では、ご当地の詩人である金子みすゞの生涯。
…私は上っ面しか知らないのですが、彼女の詩というのは死後何年も
経ってようやく発見&評価されたそうですね。
私のブログも死後に評価されたら面白いと思うんですが。
ちなみに帰り便の出し物は、宮本武蔵vs佐々木小次郎の巌流島の決闘
だそうです。…正直こっちの方が見てみたかったな。
長距離列車もなくなり、完全にローカル化した山陰本線ですが、普通
列車は割と頻繁にすれ違う感じ。
コノ辺りでも一部の駅に「京都方面」という表示が残ってたりします。
やがて列車は長門湾?に近づき、仙崎と陸続きになっている青海島が
見えてきました。
という事で、下関から2時間と少しの旅を終え、長門市に到着です。
ココからは仙崎支線、あと一駅で終点ですね。
…乗り潰しで来た時から約2年ぶりです。「みすゞ潮彩号」は、ココで
13分ほど停車して折り返します。基本的に盲腸線の小さな駅というのは、
来た列車が数分で折り返してしまうケースが殆どでしょう。
前回は長門市まで戻っても1時間待ち
という状況だったので、町を散策して
徒歩で長門市駅まで帰ったのですが、
今回は割愛します。
陽当たりが良すぎる場所にあるのか、
観光用の駅名標の色落ちが激しくて
ちょっと物悲しい感じですね。
帰りは長門市まで一区間の乗車
なのでもぅ自由席でいいなかな。
そんな感じで帰りは長門市で下車。
「みすゞ潮彩号」は再び、下関方面
へと戻って行きました。
…見ているとやはり「帰り便」と
いうのは空いてます。指定席には
数人だけ乗ってる感じだったね。
…土日に一泊旅行を設定した事で「SLやまぐち号」と「みすゞ潮彩号」
を制覇できた今回の旅。最初は「何が何でも平日!」と決めてたけど、
この頃からそろそろ慣れてきました。
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