全国「ネタ列車」乗車報告 #042
Train Reports #042

 鉄 道 会 社  列  車  名  乗 車 区 間  乗車年月
JR西日本  山陽本線 普通列車
1725M→337M→3341M
岡山→下関
2011/10
当時存在した日本一の長距離を走る普通列車による山陽本線の旅です。…旅番組ノリが些か恥ずかしいのですが。 




2011年10月の事、鉄道の日記念の「JR全線乗り放題きっぷ」で挑戦
した岡山〜下関普通列車旅の記録です。

その当時、日本一長い距離を走る普通列車というのが
【岡山−下関】という区間だったワケで、営業は384.7km

途中で列車番号が変わるので、厳密には「一本の列車」じゃないという
説もあるんですが、実際に同じ車両が岡山から下関まで行くワケで、
始発の岡山から「下関行き」と案内されてるワケから、まあOKかなと。

ちなみに他を当たってみると…
【滝川−釧路】 2429D 308.4km 
【敦賀−播州赤穂】 3519M他 275.5km 
【上諏訪−豊橋】 544M他 215.9km 

あたりがトップクラスでしょうか?(※当時のダイヤによります)

※なお飯田線の回と同様、取材当時乗り潰しを始めたばかりで、
無駄に制服を着てたり旅番組のノリで記事を書いてたりして、今から
見ると恥ずかしいハナシなのですが、敢えてそのままコピーしました。

20111014a.JPG
…今回も例によって、駅前のシーンから
スタートです。

「皆様ぉはょごじゃまー。蔵部駅の
クラ駅長でーす、宜しくお願いしまーす。

今回はですねー、こちら山陽本線の
岡山駅から西へ向かって旅をしまして
本州の一番端、下関まで行きたいと
思います。

実はこの区間、日本一長い距離を走る普通列車というのがありまして
ですねぇ、距離にして何と387.4km!これに挑戦してみようと言う事で…
1日1本だけですから、乗り遅れないように早速、駅の方へ行きましょう。」


…別に心配事があるとかじゃないんですが、何だこの表情。

20111014b.jpg
駅構内に入ると、丁度よく
「サンライズ出雲&瀬戸」が到着する
所でした。ココで両者は切り離されて、
それぞれ出雲市高松へ向かうワケ
なんですが…
鉄ヲタさんたちが群がってますな。

実の所、サンライズ対応なのかココ
のホームだけ、売店が開いてました。

駅弁を売ってたんですが、早朝なもんで種類も少ないしサンライズ
のお客さんたちに囲まれまくってて、断念したんですよね。
…コンビニ寄っといて正解。

20111014c.JPGさて、私が乗るのは、6時57分発の
下関行き普通列車!

昔はもっと多かったんでしょうね。
特急や急行は贅沢品で、一派庶民の
旅行手段は専ら、普通列車だった時代
ってのが、確かにあった筈です。

ってか、ここらの発車案内には、
貨物列車まで律儀に書いてあると言う…

後でも触れますが、何気に多いんですよ。
矢鱈と貨物列車を見かけます。ひょっとしたら旅客より多くない?

あと岡山駅を始め山陽本線の各駅は、接近案内放送が凝ってます。
「いい日旅立ち」
とか「線路は続くよ」とか「瀬戸の花嫁」とか
いつか録音に行きたいもんです。

20111014d.JPG20111014e.JPG

「うおおおー、しものせきぃぃ!行くねえ。」

いよいよ入線してきました。115系の更新車のようですね。
 下関 の表示が誇らしげですね。ココから行くんかい!って感じで。
つくづく思うのが
「105系じゃなくて良かったな」…と。
さすがにこの距離では使わないか。

そんなワケで始まりました。今回は「ずっと同じ列車で移動する」という
事で「乗り換えがない」のと「長時間の停車が少ない」という事情があり
まして、微妙な駅でしか降りられず、駅撮りの画像が少ないんですが…

では行路から…
岡山0657---下関1421 広ヒロ115系×4両+岡オカ115系×3両

20111015a.JPG岡山−糸崎 普通1725M 
(※後部の岡山車はココまで)
糸崎−岩国 普通337M
岩国−下関 普通3341M


きっぷの3日目欄に「岡山」ハンコが
入りました。

「ホラ、見て下さい。いやあ、この
松本との距離の差がイイね。」


20111015b.JPG朝のラッシュ時間帯にはもう少しあるし、
幸いな事に隣のお兄さんも寝てるっぽい
ので、今のうちに朝食…コンビニ弁当
ですが、気分だけでも駅弁っぽくいう
事で買ってきました。

この所、乗り鉄の日はいいお天気です。

「やっぱりさぁ、何つーか、日頃の行い?
真面目にやってりゃ、いい事もあるよ。」


20111015c.JPG
さて列車は、美しい町並みで有名な倉敷
カブトガニの生息地の笠岡、城下町として
名高い福山、多くの映画の舞台ともなった
尾道を通り、8時25分に糸崎に到着です。


…見所は一杯あるんですけどね、
何せ「乗り鉄旅行」というのは、基本的に
全く降りませんから。

笠岡は以前、井笠鉄道(昔あった軽便鉄道)
跡地を探りに来た事がありました。
あの時は、新倉敷からレンタカーだったな。

20111015d.JPG
後ろの岡山車3両はココで切り離します。
そのため12分停車

ちょっと降りて柔軟体操などをやり、
ビールを買い足すべく売店を探したん
ですが…ない!!まあ仕方ないか。

糸崎の前後から、車窓にそろそろ
瀬戸内海が見え始めました。

同じ山陽でも、新幹線は内陸部で殆どがトンネルですから、景色の
良さではこっちが上だよね。

気がついたら、列車は広島県に入ってます。…ついに来たよ、
「国鉄広島王国」。ココもある意味「秘境路線」だよな。

20111016a.JPG 
さっきまで瀬戸内海が見えてたと
思ったのに、列車は段々と内陸部
入って行きます。

戦前からあるような煉瓦造りの
トンネルを幾つも抜け、
段々勾配キツくなる…
(こっちからは下り坂だけど)

20111016b.JPG
セノハチ越え
ですよ。

さっきから矢鱈と出会う貨物列車に
赤い補機がくっついてます。

昔は瀬野に機関区があったんですが
今は広島に統合されたんですよね。
EF67…久し振りに見たぞ。

そんなこんなで広島に到着。 …ココは、鉄ヲタの皆さんにはよく
知られた通りてを国鉄車で賄ってる」というイメージですね。

一般の方に説明しときますと、同じJR西日本でも、例えば大阪近郊
とは違い、全く以って新車を入れて貰えないもんで、古いのを改造し
まくっては騙し騙し使ってる
と言うか…。

兎に角ねえ…
2扉と3扉を混ぜて使ってる。
黄色だろうがカフェオレだろうが湘南色だろうが混ぜて使ってる。
セミクロスだろうが転換クロスだろうがロングだろうが混ぜて使ってる。
115系と113系を混ぜて使ってる。
※あくまでイメージです。

必死だよな。いやもう、笑うに笑えないと言うか、奈良もヒドいもん
ですが、贅沢言ったらダメなのか。限りある資源は大切に使わないとね。

さてその「国鉄王国の首都」である広島を出発した下関行き普通列車は、
更に西へと進みます。

広島からはオバサン客を中心に割と混んで来たですがね、殆どが
宮島口で降りてしまい、またノンビリした車内に戻りました。
…ココから連絡船に乗り換えて宮島観光ですね。

20111018a.JPGそして次なるポイント、岩国駅に到着です。

「あー…久し振りに外へ出れるな。
時刻表によりますと、ココは18分停車です
から…ちょっとホームに出てみましょう。」


というワケでホームで撮影。

「そう言えば、もすうぐお昼だねえ…
ん?アレってお蕎麦屋さん?」


いやまあ事前に調べてはありますが、
ココは敢えて「わざとらしく」やります。

20111018b.JPG20111018c.JPG

上手い具合に列車が着いたのと同じホームに駅蕎麦があります。
シンプルな「たぬき蕎麦」をチョイス。

20111018d.JPG岩国って割と大きな駅ですが新幹線
が離れて通っちゃった
もんで在来線
だけのターミナル駅なんですよね。

…風情があるなあ。

新幹線が通る前は、24時間体制
東京・大阪方面と九州を結ぶ、多くの
長距離列車が発着してた事でしょう。
…その頃に来てみたかったね。

こう言う風景を見ると、私のクセとして「勝手にロケハンしてしまう」
というのが出るんです。昭和時代モノの東京駅とか大阪駅とか
そんなシーンに使えるよ。

20111019a.JPG20111019b.JPG

再び瀬戸内海を眺めつつ、本日2個目の「駅弁もどき」

私は乗り鉄の時は、対向車両を観察すべく基本的に「右側」に座る
んですが、空いてるもんでに引っ越しました。いいね、この自由さ。

山陽本線ってのは、東海道本線から繋げて考えると、ホントに
「日本のメインルート」に当たる重要な鉄道路線だと思うんですが、
新幹線の開通以後、「偉大なるローカル線」になってる気がします。

まあ何処も同じでしょうか?
今だったら、間の何処かが第三セクターになってそうだ。

で、バイパス的に並走する支線が多いのも特徴でしょう。赤穂線・
呉線・岩徳線・宇部線・小野田線
吉備線と井原鉄道も入るかな。

あ、一度「そっちばっかり使って西へ行く」というのを企画しても
面白いかも。

20111019c.JPG次のポイントは柳井駅…。
時刻表で確認出来なかったんですが
(一行しか載ってないタイプの駅なんで)、
ココでは12分停車

何があるのかと思うと…

貨物列車に抜かれてます。
しかも2本!


…朝から思ってたんですが、ココって絶対「貨物優先で物事を考えてる」
でしょ?あっちの方が車両だって新しいし。

それはそうと柳井駅を始めとして、この辺りの駅って通過列車の接近音
がJR東日本の「春」
なんですよ。
私は関東人じゃないから、普段から
聞き慣れてるワケじゃないけど、微妙な違和感です。繰り返し鳴るし…。
「こんな使い方もアリ?」って感じで。

20111019d.JPG
「いいですよー、別に急いでるワケじゃ
ないし、そりゃ道楽でやってる乗り鉄より
物流の方が大事だもんね。
そんな事より、さっきから景色が
スゴいんですが…。」


ついに「波打ち際」まで出ましたね。
思わずカブリ付き…。

先日の飯田線は山ばっかりだったし、普段から内陸部(奈良県)住まい
な者としては、やっぱり海が珍しいワケです。

しかし長いな
風景はさして変わらないんですが、何となく「近づいてるな」ってのが
感覚的に分かりまして…車窓には下関工場の広大な敷地が広がってます。

ココが例の「改造いろいろ実験してみよう工場」か(画像ありません)…。

下関工場の改造センスは北関東のヤンキーに通じるモノがあります。
日根野からタダで貰ってきたような水色の 103系が停まってました
また何か企んでる?そして…

岡山から387.4km、約7時間半かかって、ようやく到着です。

20111020a.JPG
「っしゃあぁぁ!ついに着きましたよ。
いやー、凄く長かったですがねえ、
ホントに『鉄道で旅をした』って実感で
一杯ですよね。」


長距離の旅を終えた115系は、しれっとした
顔で8分後に引き返して行きました。
お、お疲れ様です!

さてこの下関駅。本州最西端の終着駅に
ふさわしい、堂々たる構えの駅ですよ。

20111020b.JPG…ってかなり寂しいんですけど。

ココも昔は、本州と九州を行き来する
長距離列車の要衝であり、列車が着く度、

・独特のアナウンスとともに列車を迎える。
機関車交換のために長時間停車。
・お客は一旦降りて弁当を買う
・窓から手を握り合って再会を約束する。
鉄ヲタは写真を撮りに走り回る

ってな光景が数分単位で繰り返されてたと思うんですが…何だか
「がらーーーん」
としちゃってます…。時代の流れだと言われれば
ソレまでなんですが、一抹の寂しさは否めません。

20111020c.JPGそれでも九州へ渡る列車が
向かいのホームに待ってくれてますね。
赤いJRマークと「分オイ」の表記
まさしく九州ですよ。

色々と思案しましたが、今回は断念。

まぁさっきの「8分後に折り返したアレ」
で戻っても良かったんですが、少し
時間を取り、駅を探ってみます

20111020d.JPG改札にあった発車案内…今時珍しい
「幕が回転するタイプ」ですが、
その程度で賄える本数なのか?

…で、わざわざ別枠で設けてある「特急
・急行」
のが寂しく放置されてます。

お客も列車本数も、めっきり減って
しまってる
のに、設備だけは昔のまま
の広さを保ってて、それが妙に寂しい

20111020e.JPG
蔵部駅とも通じるもんがある
ような…。
最後に、ホームで見たトイレの案内表示

「東京側」…。

見た感じ最近のです。間違いではナイけど、
関西や中京圏内でも、そこまで書かない
ような…ちょっと和みました

「今回は久し振りの長距離鉄旅行でしたから、
色々と時代の流れも見れて良かったですよ。
やっぱり外へ出ないとね。」

そんな感じで、下関の報告を終えたいと思います。
時代の流れでコノ距離を直通する列車無くなってしまいました。
長距離の普通列車というモノの最後の姿だったのかも知れません。

…しかし旅番組ノリは、やっぱり恥ずかしいな。



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