保存施設の動態保存車両 #007
Preserved trains in museum #007

 施設名 / 団体名  車両形式 / 番号  所 在 地  訪問年月
赤沢自然休養林 木曽森林鉄道 長野県上松町
2015/11
かつては木曽の山中で大いに栄えた森林鉄道を再現した保存車両。生憎の雨天でしたが、資料館と併せて堪能する事が出来ました。 




2015年11月明知鉄道「大正ロマン号」(きのこ列車)と岩村駅など
を堪能した翌日は宿泊地の中津川から長野県に向かいました。

…今日は上松町赤沢森林鉄道を見学する予定なのですが…前日の
夕方あたりからが降り始め、昨日の晴天とはエラく違うお天気になって
しまいました。

森林鉄道のある上松町赤沢地区中央本線の上松駅から約15km
バスで30分
程かかり ます。…だから車で来たようなもんですが。

私の旅の基本「車で来てもまずは駅から」なので、上松駅に寄り道。

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「木曽のヒノキ」というのは、古くから知られた林業のメジャーブランド
みたいなもんでしょう。上松町の重要産業の1つのようです。

通常はココからバスで、森林鉄道のある赤沢自然休養林に行きますが、
何せ2時間に1往復程度のローカル路線。私は車でソノ手間を省きます

20160116h.JPG山道を走る事約30分(バスと同程度)、
赤沢自然休養林に到着しました。

ココは森林鉄道だけでなくキャンプ
施設
多様なハイキングコースなど
もあって、自然が満喫出来るスポット
のようですね。

…では今日は生憎の雨ですが、早速
森林鉄道を見に行きましょう。 

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コノ地に最初に森林鉄道が出来たのが大正時代の事、当然の事に山
で生産される材木の運搬が主な仕事で、最盛期にはソノ規模が53路線
430km
にも及んだそうな。

…写真で見る限り、軽便鉄道とは言いつつも鉄橋など本格的な設備
が整ってたようですね。
ソレがやはり自動車の台頭に押されて徐々に路線を減らし昭和50年
完全に姿を消したという事らしいです。

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…はい。見ての通り、現地にあった石碑に書いてあった事の丸写し
なんですが、その一部が保存鉄道として公開されてるというワケです。

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距離にして約2.2km、時期によりますが繁忙期は概ね30分に1回の運転
です。運賃は往復のみの扱い1回800円(終点から勝手に歩いて帰る
のはOK、その逆は不可。)となります。

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切符はやはり木製のモノで、焼き鏝で図柄を印刷した感じでしょうか?

…ホームには軽便鉄道らしい、リアルトロッコ客車が待ってました。
ではいよいよ乗車してみましょう。

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客車はオープンスタイルリアルトロッコ列車ですが、現役当時の
ではなく、後に復活用として新製されたモノようです。

完全廃止が昭和50年復活が12年後と言うから昭和62年か。
ソレだけのブランクがありながら、よく線路が使えたなと思いますが。

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バネの緩衝材が付いたピン式の連結器は、軽便鉄道らしくて大好きな
アイテムの1つです。座席は簡素ながら転換クロスシートなんですね。

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そんな感じで列車は、小型ディーゼル機関車の牽引で進んで行きます。
速さは時速約7kmだそうな。 線路沿いには渓流が流れ、お天気が
よければさぞ気持ちいいだろうなという風景です。

20160118g.JPG私が行った時は空いてたのに、直前
になってバスツアーの団塊世代
皆さん
が押しかけて来てしまい、
車内は一気に超満員になりました。

…特に軽便鉄道に思い入れがある
人たち
だとは思えません
単にツアーの中に入ってたから
バスガイドさんに案内されて何となく
来ただけでしょ?

知名度と切符が売れるのはイイ事だけど何だかなあ?という感想でした。

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線路と平行しての遊歩道もあり、
先述の通り歩いて帰る事も可能です。

案内によると乗った駅から車椅子でも
来れるよう、段差を一切無くしてある
そうな。
お天気が良ければ歩くのですが、
段々と雨脚もキツくなってきました
ので、今回は断念致します

20160118i.JPG約10分で終点の丸山渡(まるやまど)駅
に到着です。 列車はココで機回し
行い、進行方向を変えて再び同じ線路を
元の駅まで帰ります


折角、秋の紅葉シーズンだってのに
些か勿体無い感じの体験乗車でした。

でもワザワザ来たからには、ちょっと
だけ周囲を見回してみましょう

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復元された現役の車両より、側線の奥に突っ込んである古いやつ
目が行っちゃいますね。

シートを被せてあるのは、かなり小型の機関車でしょうか?
木造客車と、タンクみたいなのは何?北海道の軽便鉄道だと牛乳を
運ぶ
タンク車ってのが存在したらしいですが、ココに牧場はなさそうだし。

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ともあれ列車はココで機回しを行い、もと来た線路を帰って行きます
…よくパンフレットに載ってる、だからボンネットを前にしたスタイルの
編成は、実は帰りの列車だという事だな。

悪天候のため、ココで降りて帰りは歩こうという人は居なかったですね。
 
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そんな感じで私も同じ列車で帰りました
元の乗り場に戻ったら、併設されてい森林鉄道記念館を見てみましょう。

20160119g.JPG…と言うかカナリ雨脚が強くなって
きた
のが、写真でも分かると思います。
やはりイイお天気の時(で団体客の
居なさそうな平日)にリベンジしたい
モノですが。

記念館の前にあった待合室?
…コレこそどう見ても元は木造の客車
でしょうね。
こんな雰囲気だったのか

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まず入口に、距離やカーブの半径などを示す標識とともに、乗客に
対する
注意事項のような掲示物がありました。

…なるほど。あくまで専用軌道ですから、誰でも乗車出来たワケじゃ
なく、
利用は乗車証を持った職員や地元の人に限られてたようです。

管理が営林署だから、上部組織林野庁→農林水産省だわな。
事故の場合国家賠償法が適用され…ないのかよ!
ソノ辺が、営利企業の鉄道とは違う面白さ(興味深さ)だと思います。

という事で、続いて館内の展示物を見ていきましょう。

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まずココの名物と言えば理髪車でしょう。
山奥で林業に携わる人たちが、ワザワザ山を降りて散髪屋に行かなく
ても済むように、散髪屋さんの方が出前でやって来る、しかも鉄道で!
ヨソでは見られないアイディアだと思います。

室内が上手く撮れなかった(写り込みが邪魔で)ので、館内にあった写真
で代用。…バリカンやドライヤーも装備されていますな。

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デモ的に置いてある、丸太を運ぶ貨車小型のモーターカー

…何かで見たのですが、例えば大型の工作機械とか、普通の貨車に
載らない大荷物
の時は、丸太用の貨車に一重だけ材木を積んでソノ
上に荷物を載せ
そうです。

そしてこのモーターカーめっちゃ可愛い!コレ欲しい!
…こんなので好き勝手に線路を走れたら楽しいだろうと思いますが。
しかしコレ、片運転台だわな。行ったらどうやって帰るのか?

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館内には当時の写真とか資料とか、 多数の展示品があります。

動力は当然、最初は蒸気後年になってディーゼルに変わって
行ったのでしょう。古い蒸気機関車の写真も数多くあります。

軽便鉄道ながら、駅長さん(と思しき人)の制服サーベルまで
あって立派ですね
私のは国鉄末期の昭和50年代をイメージしてありますが、詰襟の
レトロ
なのも欲しい気がします。…ドコで売ってるのかは知りませんが。

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大正5年から昭和35年まで使われたという、SLの ボールドウイン号
自走は出来ませんが、天気のイイ日にはディーゼル機関車で牽引
して屋外の側線に出される事もあるらしいです。今日は中でお昼寝中?

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皇太子殿下(今上の天皇陛下)が、何かの視察で当地を訪れた時の
特別車両なんてのもありました。
「精一杯のゴージャス感」がヒシヒシと伝わる逸品だと思います。

という事で生憎の雨ではありましたが、ずっと行きたかった赤沢森林鉄道
を満喫出来て、前日の明知鉄道と合わせた有意義な旅だったと思います。



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