保存施設の動態保存車両 #002
Preserved trains in museum #002

 施設名 / 団体名  車両形式 / 番号  所 在 地  訪問年月
有田川鉄道交流館 キハ58003 和歌山県有田川町
2015/01
各地の鉄道保存施設を巡る旅の第一弾。和歌山県の有田鉄道跡地に生きるキハ58003に会いに行きました。 




2015年1月、そろそろ乗り潰しも頭打ちだった頃の事なんですが、今後
のネタ集め
として鉄道保存施設を巡る事を思い付きまして、ソノ第一弾
として、和歌山県有田川鉄道交流館を訪れました。

ココは以前、JR紀勢本線の藤並から出る有田鉄道というローカル私鉄
があった所で、その終点の金屋口駅に近い所に、一部の線路を残して、
公園と「鉄道交流館」という展示施設が作られています。

JRからのアクセスがさして良くないと聞いてましたし、近い距離です
から、奈良から「もどき」西名阪〜阪和道と走って、約3時間で到着。
…ゆったりと流れる有田川の河畔にありました。
 
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しかし個々の名称に「有田川」が付かない呼び方もあるようで、
ウチのカーナビにも単に「鉄道交流館」として登録されてました。

「有田川鉄道公園」で検索しても出ない筈だわ(帰りに気付いた)。

入口に近い方は、芝生スペースに遊具が点在する公園になってて、
日曜日という事もあってリア充家族がお弁当を広げてたりします。

…で、奥にあるのが鉄道交流館と、今回のお目当てのキハ58003!

山間の公園に、場違いかつ懐かしい気動車のアイドリング音が響いて
ます。今回は「体験乗車」を狙ってワザワザ日曜日に来たんですよ。

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有田鉄道は現役の頃…私が中学3年の時に一度乗車経験があります。
 …だから27年ぶりぐらいの再会になりますか。

その後、更に小さなレールバス(後述…ハイモ180)に変わってしまい、
路線自体も2002年に廃止されたのですが、ソノ後も地元の皆さんに
よって保存されてたようです。そしてココがオープンした2010年から、
動態保存車
として復活運転が行われています。

復活から数年が経ち、些か色褪せてきた感じですが、ソレでも現役
当時
よりキレイな姿になってますね。
お正月に飾られた特製のヘッドマークが残ってました。

では続けて、同車両の細部を紹介して行きましょう。

元々は山梨県の富士急行で、当時の国鉄中央本線の急行列車に併結
して
使うために作られたモノなんですが、国鉄側の完全電化によって
不要となり、有田鉄道に引き取られました。

国鉄と全く同一仕様(片運転台)の001・002もあったのですが、珍発明
の003
だけが残ってます。…1両で動かせて小回りが利きますからね。


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第@エンド側(写真右)S席のある国鉄と同一の仕様ですが、
第Aエンド側(写真左)ボックス1つ分を戸袋窓にして
定員を揃えてあるのだそうな。だからトイレはありません

20150130c.JPG「きのくに」「7号車」とか、サボは
やりたい放題ですね。

方向幕も片方は有田鉄道オリジナル
「金屋口」ですが、もう一方が113系
あたりからパクってきたもの
でしょう。


桜井・高田経由の王寺行きか。
桜井線ですな。是非ともコノ車両で
実現して欲しいわ

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内部は、開館時間内なら運転を行わない時でも自由に見学出来ます
昭和38年ですか。
国鉄のキハ58の歴史の中でも初期の頃だわな。

で、現役当時に乗った時から気になってましたが、国鉄に所属した
経歴は
一切ナイのに、扇風機に国鉄マークが入ってます。…部品の
使い回しに
大らかな時代を感じさせますね。

20150130f.JPG車内も完全オリジナル仕様です。
取っ手も初期型の丸いタイプですが
以前に乗った時の記憶ではモケット
もっと濃い青だった気がします。

もしかして雰囲気出しに張り替えた?
…そんな手間掛けれませんか
施設の人に聞こうと思って聞きそびれ
ました真相をご存知の方があれば、
また教えて下さい。

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そんなレトロな雰囲気から、近年「ALWAYS三丁目の夕日」の映画
ロケに使われたようで、車内には訪れた吉岡秀隆さんと小雪さんの
サインが展示されています。
茶川さんが中央本線の急行で故郷の長野へ帰るシーンだそうな。
設定的にもピッタリですね。

20150131a.JPG20150131f.JPG

交流館の入場料大人1人200円キハ58に乗る場合は追加100円
です。合わせて切符を買っておきました。

ちなみキハ58は、ココから(乗車口に向かって)右方向公園内の
車止め
(駅名標の「てつどうこうえん」)まで行き、折り返して反対方向
に残る金屋口駅まで走って、また戻ってきます。全部で数百メートルの
距離
でしょうか?

20150201d.JPG20150201e.JPG 

資料館の室内展示をアレコレ見てるうちにイイ時間(13時前)になり
ましたので、いよいよ体験乗車です。

妙に惹かれる名札をつけた、年配の運転士さんが登場。
お話を聞くと、やはり実際に国鉄時代の機関士さんだという事でした。

「SLの釜焚きの頃からやってたよ」と…ご苦労様です。

ココのホームページfacebookしかナイので、体験乗車に関する
情報も?みにくくて、最終的には電話で問い合わせたりもしましたが、
基本的に土日祝、上の画像の通り4回の運転があるようです。

だから土日に行くと合間の時間もエンジンが動いてますから、懐かしい
アイドリング音がずっと聞こえてる
んですよ。好事家には堪りません

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普段は施錠してある運転席ですが、運転前に「写真撮ってもイイよ」
見せて頂きました。…ちゃんとスタフもあるんですね。芸が細かい

20150201h.JPGそんな感じで、まずは乗り口に向かって
右方向…公園の車止めの方へ走ります。
「走行中は着席して下さい」との指示
があったので「かぶり付き」はナシね。

外から見た停止位置標が妙にユガんで
ますが…直しちゃダメですか?

結構人気があってボックスの7割ぐらい
が埋まる乗車率
でした。

…勿論、小さな子供さんなんかは現役の頃を知らず、遊園地の乗り物
みたいな感覚なんでしょうね。
この体験乗車が、彼らの将来にどのように影響するかは知りませんが

という事で次は反対方向に折り返し、元々の終着駅であった金屋口
到着しました。
ココで約5分間の停車時間があり、駅が見学出来る流れになってます。

20150202c.JPG20150202a.JPG

駅が当時のままに残されてた事に少なからず驚きましたが、恐らく
ココに同社の本社が併設されてるからだと思われます。

鉄道の営業はしてないものの、会社はまだ存在します。)
駅名標や運賃表なども当時のまま…発車時刻表は外してありました
先述の映画のロケも、ココで行われたようですね。

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こうして見ると、まるで現役の鉄道の駅みたいですが…改札は閉じ
られたまま
です(建物の隙間から出入りは出来る)。

右側の写真のサボは、さっき乗ったのと反対側に付いてたモノです。
私が乗った頃も、藤並から国鉄の紀勢本線で1つ先湯浅まで、
一方だけの乗り入れ運転が行われてたんです。ああ懐かしい

停車時間内に金屋口駅とソノ周辺を見学したら一旦交流館に戻り、
廃線跡サイクリングに行く事にしました。



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