訪問後に廃止された区間 #104
The trip for abolished railroads #104

 鉄 道 会 社  路 線 名  訪問年月  調 査 区 間  廃止年月
JR北海道 留萌本線
2015/09
留萌→増毛
2016/12
2016年に惜しくも廃止された留萌本線の末端区間、留萌〜増毛の旅の報告です。…ホントに映画「駅〜STATION〜」の世界だなあ。 




2015年9月の北海道の旅の初日の事です。…前年の同時期の旅では
予定していた区間で、大雨でによる運休が相次ぎ、留萌本線断念
せざるを得なくなりましたので、1年置いてのリベンジです。

今回は新千歳空港から「エアポート→スーパーカムイ」のスジで深川
まで直行しました。…ココから留萌本線に乗り換えです。

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北海道の中規模な駅としては典型的な造りでしょうか?
都市部は高架の駅も増えましたが、このタイプの地上駅が好きですね。
伝統的な縦書きの駅名標も相まって「国鉄」な旅情を感じます。

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■深川1323---増毛1451 普通4927D 旭アサ キハ54-500×1両。

ブログ本編ではココから留萌までの現存区間も記録しておりますが、
このページでは「廃止された区間」を扱いますので、サクっと飛ばして
区間の要衝である留萌到着から記します。

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上下とも、大抵の列車がココで小休止のような感じで長時間停車
します。…黙って座ってる手はナイですよね。

改札を出て下車印を貰ったら、時間のある限り色々と見てみましょう。

20150918c.JPG最近はすっかり、本来と違う意味
使われがちな「萌」という漢字
入ってる地名って他にあったかな?

夕日が美しい数の子の生産高
日本一の町だそうな。

元々は町の名前が「留萠」という
表記で、駅名も長い事「留萠駅」と、
地名とのズレがあったらしいです。

ソノ薀蓄は子供の頃に、地図を作る仕事をしてた叔父さんから教えて
貰った覚えがありますが、平成7年に今の「留萌」という表記に統一
された
そうです。…意外と最近の事なのね。

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待合室には、留萌本線にSLが走った時のヘッドマークと、何故か
熊が居ました。…「三毛別ヒグマ事件」の紹介用ですか。

コレは昔、タカオ先輩(今でも付き合いのある前の会社の上司)から
教えて貰った記憶があるわ。説明すると長くなるので、興味のある人
各自で調べて下さい

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ホームは2本駅舎に隣接する1番線と、跨線橋を渡った先に2番線
があります。…って、元々は2番3番だった筈ですが、今は3番線は
レールがなく、表記もありませんでした。

しかも2番線を使うのは、朝に発着する1本の列車だけのようです。
でも特に閉鎖もされず、自由に行き来出来るのが有り難いですね。

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元々この更に向こう側から羽幌線が出ており、向かう方向から見て
3番線留萌本線折り返し用など充てられてたと思われます。
…が今はこんな感じ。寂しいもんですね。

ってか、羽幌「線」に対しての留萌「本線」なんだと思われますが、
支線部分が消滅して名前の意味が無くなってます。

でも花壇が整備され、そろそろコスモスが咲き始めておりました

20150918j.JPGそんな感じで再び発車。

駅を出ると、大きなトラス橋で川を越えます
が、右側にももう1つ、草に埋もれて明らか
使ってナイ鉄橋が見えます。

コレも恐らく、羽幌線の遺構だと思われます
が、廃止されてもう30年ぐらいでしょ?そして
間もなく留萌本線も廃止されようとしてます。

…コレは2つまとめて保存出来ないもんです
かね?コノ地に鉄道があったという記念碑
として最適な気がしますが。

という事で、深川から留萌までが約1時間、残りの増毛までが約30分
ですが、留萌本線の旅まだまだ続きます留萌を過ぎると線路は
海岸線
へ出ました。

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国鉄時代(1982年)の時刻表の索引地図を見ると、ココから先の駅
瀬越(臨)−舎熊−増毛3駅だけなのですが、現在はコノ通り。

…先述のように駅が増えたのではなく仮乗降場が駅に昇格したから
こうなったのだと思われます。…他所者にも分かりやすくしたのか?

道内時刻表って、私は買った事ナイのですが、全国版に記載のナイ
仮乗降場が載ってるというのが、1つの特典と言うかステータス(?)
だったような気がするんですが…もうソノ「格差」存在しないのか?

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留萌から先は、今時珍しいスタフ閉塞ですね。入り組んだリアス式の
海岸線
に沿って走ります。冬場だと、また違った風景なんだろうな。

所で、やはり間もなく廃止されるという事の影響でしょうか、留萌
過ぎてから「かぶり付き」の人数矢鱈と増えた気がします。
…中には子供さん連れ鉄家族も居るようですが。

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各駅を1つずつ丁寧に写真に収めるとか整理券全駅分引っこ抜いて
行く
とか…私には真似の出来ない乗り方ですわ。

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折角だから代表して1つだけ紹介。終点の増毛の1つ手前の箸別駅
です。…ココも見た感じ、仮乗降場の板切れホームでした。

カーブミラーで確認するに、やはりココも車両1両に満たない長さ
と言うのが分かりますね。

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…ってか、周囲の集落の荒れ具合哀愁を感じます。

北海道の場合、屋根が潰れた廃屋ってのは雪の重みでヤラれたもの
が多いのかも知れません。ソレを直す人が居ないって事ですよね。

そんな事を考えてるうちに、間もなく終点の増毛に到着です。
この運賃表示機を、コレまた一駅ずつ丁寧に撮ってる人も居ましたが。

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ホームが1本だけ簡素な終着駅ですが、何やら大量のカメラを伴う
人だかり
が…。

…ぃゃ、廃止はまだ半年ぐらい先だろうし、コノ列車とて何の変哲もナイ
普通列車なのに、今からこの騒ぎですか。コレは今後、段々とウナギ
昇りに人数が増えていって、最終日はエラい事になりそうな予感です。

予言します。つくづく「今のうちで良かった」という感想になりそうだな。

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という事で、初日の目的地である増毛駅です。去年はイキナリ当日に
台風による運休
が発生したので、ソノ時のリベンジも果たせましたね

20150920f.JPG…私が増毛駅の存在を知ったのは、
詳しくは後述しますが高倉健さんの
映画「駅〜STATION〜」での事です。
主にココと留萌が舞台で、冒頭には
函館本線の銭函駅も出てきます。

やっぱり「ようやく来れた」という
感じですね。劇中では雪に埋もれた
ような冬のシーン
が多かったように
思いますが、イイ気候の初秋でした。

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勿論ココも、かつては多くの側線を持つ駅だった事でしょうが、今は
ホームと線路が一本だけ残ってて、周囲は広い空き地?

線路近くだけがロープで立ち入り規制されてるというユルさです。

さて「増毛」という地名ですが、コレもやはりアイヌ語「カモメの所」
みたいな意味だそうですが、やはり漢字表記がこんな風なので…

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私も父方がハゲる家系なので、将来的にある程度は覚悟してますが
拝んで増えるモノなら拝んでおきましょう

そんな感じで、駅とソノ周辺を、時間の許す限り見てみましょう。

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駅舎内は、海産物などを売る御土産屋さんになっています。
以前には蕎麦屋もあったらしいですが。

珍しいモノが色々とあるのですが、殆どが冷凍品でして、旅の途中
しかも初日に買って持ち歩くには、ちょっと不便かも知れませんので…

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歩王さんオススメ蝦夷鹿のサラミと、甘エビの干物を買いました。

以後4日間かけて、ホテル到着後に画像の整理とかをしつつ、酒の
アテに頂きましたが、鹿肉サラミ一般的なソレよりも味が濃いです。

甘エビも美味いんだけど、触角など完全な形で残りすぎてて
口の中で刺さるわ、ソノ辺に散らかるわ…ちょっと苦労しましたね。

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駅のすぐ向かいに例の「風待食堂」の建物があって、ソレが観光案内所
になってるという事なので、行ってみました。

映画「駅〜STATION〜」の中で登場人物の1人、すず子さんが働いてた
食堂です。…コレが見たかったんですよ

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やっぱりありましたね。パネル展示。と、増毛(ぞうもう)のお守りとして、
硬券の入場券も売られてるようです。

皆さんは、この映画って見た事ありますか?

高倉健さんが演じる主人公の英次は北海道警の刑事で、オリンピック
射撃競技の選手でもあるのですが…大筋のストーリーとは関係の
ナイ所に、昭和の北海道の国鉄風景出てきまくりの映画です。

主人公は、ココから南へ少し行った所にある雄冬という町の出身で、
当時は道路が未整備だったため、増毛から海岸沿いに走る連絡船
行くのが一般的だったようなんです。

船だから海が荒れたら欠航になり、ソノ時に出会った居酒屋の女(倍賞
千恵子さん)
と、イイ歳の2人短い恋に落ちる…。

やっぱり健さんと千恵子さんは、邦画界のベストカップルだと思います。

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そんな増毛の港などを見て(映画で見た連絡船の発着場分からん
かった
)次の列車で留萌まで戻ります。

1時間ってアッという間でしたね。もっと時間を長く取れば良かった
でも荷物を預ける所がナイんだよな。

■増毛1541---留萌1611 普通4934D 旭アサ キハ54-500×1両。

という事で留萌本線の旅は無事に終了。コノ日は留萌に一泊となります。
翌日は旭川から遠軽へ出て、白滝シリーズ各駅の訪問となりました。



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