2016年12月、日帰りの近場という事で、近鉄の南大阪線〜吉野線を走る
新しい観光列車「青の交響曲」に乗ってきました。
コレまた登場して数か月が経ち「そろそろ空いてきたかな?」という感じ
での選択となります。…まず奈良を出てJR大和路線で天王寺駅に到着。
「あべのハルカス」も大阪の風景にすっかり定着した気がしますよね。
道路を隔てたソレの下が近鉄の阿部野橋駅です。
余裕をかまして阿倍野の地下街で飲んだくれてたら、結構ギリギリの
到着でした。既に入線してるようなので急いで行きましょう。
…見慣れた中古の通勤電車ですが、エラく豪華に改造されています。
停車中のホームには、テーマ音楽のようなモノが流れております。
…後で知ったのですが、コレは車両に付いてる車外スピーカーからの
音なんだそうですよ。
「上質な大人の旅」がコンセプトだという事で、シックで落ち着いた装い?
車両もまだ(改造してから)新しいので、周囲の景色が映るほどにキレイ
ですね。…自分を入れずに撮るのに苦労しましたわ。
元は6200系という形式の通勤電車ですが、特急用として使うので番号が
改まっております。…基本的に近鉄は特急車両に5桁の形式を使うので、
10000を足して16200系というそうな。
右窓にコルトン式の行先表示器がありますが…コレってホントに必要?
「吉野」「大阪阿部野橋」「回送」ぐらいしか表示しないでしょうに。
ともあれ車内に入りましょうか。エントランスからして豪華です。
客室内は勿論も3列シートになっており、ドアを埋めた部分がピッチが
違うので、向かい合わせのサロンorツインになるようですね。
乗務員室にもエントランスと同じデザインの貫通扉がありますが、
展望は効きません。
…隙間から見るに運転席は何の改造も為されてナイ様子でしたが。
ではそろそろ発車のようですので、吉野までの旅を楽しみたいと思います。
普段ならココで特急券を写す所なのですがも今回はチケットレスで
申し込んだので代わりにソノ画面で…。
特急料金と特別車両の料金を合わせて720円。1編成の改造費に2億円
かかってるという事を考えると安いんだと思いますよ。
私の席は3号車の1人席。…平日の午後便という事で、空席が所々にある
感じの乗車率です。シートピッチも充分に余裕がありますね。
…空いてるのをイイ事に、他のタイプの座席も見に行ってみましょうか。
シートの形状としては全て同じ物なんですが、前後に回転出来る箇所と
テーブルつきで固定された箇所があります。ソレが交互に並んでる感じ?
固定された2人席が「ツイン」、4名席を「サロン」という名称になっており、
コレは窓口でのみの販売(ネット予約不可)となるようです。
…元は通勤電車なので、ドア部分とロングシート部分で窓枠のピッチに
ズレが生じます。前述の通りドアだった部分が固定席になるんですね。
運転席直後の3人掛けシートだった場所は、外向きに少し角度を付けた
1人席になっています。…ココだけ撮れば何やら豪華な個室の趣き。
所で「青の交響曲」は、観光列車ではあるものの一般の特急と同じスジ
で走ります。…だから運休日は一般の特急車両での代走になる。
と言うか元に戻るワケなんですが、ソノ観点から見ると「ぶっ飛ばしすぎ」
に感じるんですよ。
…南大阪線も橿原神宮前までは複線の高規格路線で、ダイヤの密度も
高い。ノンビリ走ってられないのは分かりますが…何か違う気がします。
そんな感じで気が付いたら奈良県に入っておりました。
緩やかに傾斜していく土地の先が奈良盆地、背後が二上山です。
一般の特急と同じダイヤなので、停車駅も同じ。尺土・高田市と停車
しますが、コレ必要かなあ?高田市は私が出た高校の最寄駅なので
懐かしいと言えば懐かしいのですが。
ともあれ続いては、この列車の売り物の一つであるサロンカーの紹介
へと行きましょう。3両編成の中間車になります。
こちらも乗降扉を1箇所に減らし、窓は敢えて小さ目に改造されています。
内装はこんな感じ。ココの座席は定員には含まれないので、自由に座る
事が出来ます。
…1人で長居してもアレかと思いますが、グループでの利用だと楽しい
でしょうね。本格的な食堂車とは行かないですが、昨今の合理性重視の
事情からすると稀有で面白い存在だと思います。
エントランスには、やはり観光列車にありがちな本棚が…。
見た感じ、やはり奈良や吉野に関する本が並んでおりますが、ゆっくり
読んでるヒマはナイと断言してもヨロシイかと。
カナリ大き目に作られたバーカウンター。
ココで食事や飲み物の提供を行いますが、流石に調理はしてナイ模様。
カウンターの脇にも放送用のマイクがあるので、コレで観光案内などの
放送をするのだと思われます。ちょっとしたアイディアでしょう。
そしてココには記念乗車証も置いてあります。行先の吉野に因んでか、
吉野杉の薄い感じの素材でした。…配って貰えるワケではなく「勝手に
持ってって」状態ではありますが。
ではソロソロ、何か買って頂くとしましょうか。
まずは座席に戻って備え付けのメニューで何があるのか?を見てみます。
さて「青の交響曲」ですが、折角なのでビュッフェで何か買って頂く事に
しましょう。何があるのかな?
座席前のポケットに備えつけてあるメニューによると、各種のスイーツ
などもオススメのようですが、私は地酒の飲み比べセットにします。
ソレだけでは心もとないので、柿の葉寿司とオリジナルのジャーサラダ
も頂きました(右が展開図)。
優等列車から食堂車が消え、車内販売さえも減少の一途な昨今、
列車内でこのような豪華なモノが食べれるというのは稀有な事。
誠に楽しいお話です。
…のはイイのですが、この「青の交響曲」は車両が元は通勤電車であり
通常の特急ダイヤをぶっ飛ばしてるワケですから…
「時間的な余裕が殆どなく、途轍もなく揺れる。」
のが難点なんですよ。
吉野まで1時間少しでしょ?車内放送で景色の説明などはあるものの
長時間の停車を取る駅もナイし、ビュースポットで徐行する事もナイ…。
ジャーサラダは殆ど食べ終わった状態だったのですが、振動で容器を
床に落としてしまい、掃除に難儀しました。やはり買いすぎでしたね。
ともあれ京都方面との接続駅である橿原神宮前に到着。
正確には南大阪線はココまでで、ココから先が吉野線になります。
吉野線は単線区間です。単線っても天下の近鉄ですから、線路は
高規格で作ってあるのでしょうが、交換設備のある駅が多く、コレまた
よく揺れる。飛鳥を過ぎると、列車は吉野山地に分け入って走ります。
…飲みすぎると行きたくなるのがトイレでしょう。
スペースを大きく取った、今時のバリアフリータイプのトイレが1号車に
作られています。…ほぼ同系列の「つどい」とはエラく違うぞ。
1時間少しの旅には豪華すぎる気がせんでもありません。
あまりに広すぎてベビーチェアが遠い…便器に座った状態で手が
届かないぐらいです。人間工学的に大丈夫なんでしょうか?
そんな感じで沿線の数少ないビュースポットの一つ、大和上市駅近くで
吉野川の鉄橋を渡ります。ココは撮り鉄スポットでもありますね。
近鉄吉野線は、吉野川を渡ると吉野の町に入りますので程なくして終点
の吉野に到着です。…大阪阿部野橋から1時間と16分の旅でした。
…前のオッサンたちが、なかなか退けてくれないので含めて撮る。
繰り返しになりますが、ダイヤに余裕がなさすぎです。コレだけ豪華な
車両なんだから、もっと乗ってたいのが人情だと思うんですけどね。
周知の通り近鉄の南大阪線〜吉野線は、他の線区と違って狭軌レール
の路線なので、コレ以上の距離を走る事は出来ないのですが。
あと、ソレなりに過密ダイヤな所なのでノンビリ停まってる事も叶わない
のかも知れませんけどね。ぃゃしかし残念。
吉野山も見どころの多い観光地ではありますが、私は地元の域なので
今回は駅だけ見て帰ります。鋭角に尖った高い屋根は「大和棟」という
奈良県の古民家によく見られる建築様式ですな。
ともあれ奈良県にもこのような豪華な観光列車が走るようになったという
のは、私にとっては大変嬉しいハナシです。機会があれば皆さんも是非
お越し下さい。
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