全国「ネタ列車」乗車報告 #021
Train Reports #021

 鉄 道 会 社  列  車  名  乗 車 区 間  乗車年月
大井川鉄道 アプト式列車 アプトいちしろ→長島ダム
2013/03
大井川鉄道のもう一つの魅力。急勾配を特殊な機関車が押し上げる、アプト式区間を旅します。




今回の目的は井川線。ココから終点の井川までを目指すワケですが…
井川線大井川本線は、運賃計算も全く別。通しで乗っても千頭で
途中下車しても、改めて同じ運賃なんだそうな。

…私は前日に買ったフリー切符があるので関係ナイのですが。

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という事で大井川本線の電車から、千頭ミニ列車に乗り継ぎます。

20130403a.JPG大井川鉄道は、本線も井川線も大井川の
流れに沿って遡るように
走って行きます。

井川線は元々、上流でダム工事をする
際に資材や人の輸送のために作られた
ホントに「簡易軌道」的なモノが発祥
なんですよ。
ココでは、大井川の流れも線路から
大して離れていません


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奥泉を過ぎ、幾つかのトンネルを抜ける。
…側線に待機するアプト機関車を横目に「アプトいちしろ」に到着です
標高が396mと書いてありますね。コレもチェックな。

20130403h.JPG…ここからの区間は、平成2年に
長島ダムを建設した時に、
路線の一部が水没する事になって
ルートを付け替えた結果に誕生した
日本で唯一(現在)のアプト式鉄道
区間です。

線路にある歯型レール(ラックレール)
と、車両側の歯車噛み合わせて
急勾配を上り下りするんですが…

中学校の「技術」のテストで、「平歯車の例を書け」という問題に
「アプト式の鉄道」と書いたら×にされた事があるんですよね。
…単に教師が知らなかったんでしょうが、納得行きません

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5分間の停車で、後部にアプト式の補機を連結します。
ココだけ電気機関車で車両限界も違うから、かなり大柄に見えますね。
本務機のディーゼル機関車共々、先頭のクハで制御出来るそうな。

20130403f.JPG…何と言うか、
この「体格差」に萌えません?

常に385系(社長)の補機でありたいと
努めている私からすると、
どうも感情移入してしまうと言うか…。

小柄な彼女を力強く押し上げる
危険な所では先に立ってガードする
あぁもう!そんな存在でありたいのです。

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という事で、列車は日本一の急勾配90‰に挑みます。

カメラを車両の傾きに合わせて固定し、携帯電話のストラップを垂らして
角度を見てみる実験

…でも、やっぱり分りにくいので、赤で補助線を引きました。
鉄道の勾配って、普通は目に見えて分るケースって少ないですから
ちょっと驚くでしょ?(…我ながら無理矢理な気もしますが。)

20130404a.JPG20130404b.JPG

補機を連結した列車は、アプト区間をゴリゴリと登って行きます。

乗り始めの頃と比べて、かなり川が離れて見えるようになったのが
分ると思います。…ソレだけ標高が上がったという事ですよ。

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この区間が出来る由縁となった長島ダムも間近に見えますね。
標高の分の寒さはあるけど、前日の寒さがウソのような好天です。

20130404e.JPG車掌さんの案内に従ってカーブで後方を
振り返ると、アプト機関車が見えました。

小さな赤い列車を、一回り大きな
補機が力強く押し上げている構図。
自分が理想とする姿を見るようで、
やっぱり感情移入しちゃいますねぇ。

個人的には青く塗って欲しい所ですが。


20130404f.JPG20130404g.JPG

そんな感じで次の長島ダムに到着です。
標高が485m。前駅のアプトいちしろ396mだから、一区間の差が
89m
あるという事です。アプトにしか出来ない芸当でしょう。

ココで補機は切り離され、今度は坂を下る列車のガードに備えると…。
そう、のべつ必要なワケじゃないんですよね。
本務機が困ってる時だけでいいのです。確かにそんなもんだ。

20130404h.JPG長島ダム駅から振り返ると、今さっき
登ってきた線路
が見えます。

…やっぱり90‰ともなると勾配が
「目に見えます」
ねぇ。開けた場所を
走ってるせいもあるのでしょうが。

元々は、もう少し長い距離をユルく
登っていたのが、ダム工事で今のルート
になり、アプト式が採用されたと…。

「怪我の功名」ってのは変な言い方ですが、結果的に新しい鉄道の名所
となり、井川線の一つの「見せ場」と言うか、魅力が増した気がしますね。
そんなアプト式区間の旅でした。



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