保存施設の動態保存車両 #005
Preserved trains in museum #005

 施設名 / 団体名  車両形式 / 番号  所 在 地  訪問年月
片上鉄道保存会 キハ702 岡山県美咲町
2016/07
毎月第一日曜日に行われている同和鉱業片上鉄道、吉ヶ原駅跡地の復活運転イベントを見学に行きました。 




2016年の7月3日、再び岡山県の柵原にある、旧同和鉱業片上鉄道
吉ヶ原駅に行ってきましたので、ソノお話です。

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前年の10月、多度津へ行く時の前日「何もない平日」に立ち寄って
以来の事ですが、今回は月に一度第一日曜日に行われる復活運転
に合わせて来る事が出来ました。

吉ヶ原は相変わらずバスの便が不自由な所ですから、今回も奈良
から「もどき」移動です。

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「第一日曜日」ってば、6月は社員旅行8月は明知鉄道だったでしょ?
ホントに谷間に上手く休みが当たったもんだと思います。

普段は「飾り物」でしかナイ時刻表も、今日は生きた発車案内です。
駅は保存会の皆さん多くの見学者で、大変な活気がありました。

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私が現地に着いたのが、2本目の列車が出る10時30分直前ギリギリ
だったので、まずは乗車を見送って、駐車場に近い踏切から、列車の
走行シーンを撮影する事にしました。

ちゃんと踏切警手の方が居て、警報機と遮断機を操作します。
電子音ではなく「チンチンチン…」という感じの鐘のヤツね。

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そして吉ヶ原駅を発車した列車が、こちらの方へ走ってきました。
国鉄で言うとキハ07型に当たるキハ702号ですね。

20160817j.JPG後々で見た駅員さんや乗務員さんも含めて、
皆さん完全に「成りきって」らっしゃる
ようです。コレは楽しそうだ。

 そして列車は数百メートル先のカーブ、通称
「列車消失点」を越え、終点の柵原幸福駅
まで走ります。
…時間によって、駅に着くものとソノ手前で
折り返すモノがあるようですが。

ではコノ列車が戻ってくるまでに、吉ヶ原駅
に行って切符などを買い実際に乗車する
準備
を済ませる事にしましょうか。

そんな感じで踏切を通過する列車の走行シーンを先に撮りましたので、
吉ヶ原駅へと戻ってきました。

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前回は閑散としていた駅舎内も今日は窓口が開いており沢山の
グッズ
やパンフレットが並べられて、非常に活気があります

運賃表いつの時代のモノなんでしょう?奈良まで890円ですって。
と言うか、昔は中小私鉄でも国鉄との連絡切符を、カナリ広い範囲
売ってたイメージがありますよね。

20160818e.JPGという事で、今回の体験乗車に関する
切符を買います。…1人300円ですね。

この復活運転は、片上鉄道保存会の
行事であり、会の皆さんがそれぞれ
の係の鉄道員として参加しています。

一般はコノ300円「1日会員」となり
「列車の乗客の役」として参加出来る
という理屈になるようですね。

会員証のデザインは、1991年同社が廃止された時記念テレホン
カード
を模して作られているとか。図柄は複数あるようです。

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そうこうするうち、先程のキハ702号が戻ってきました。サボは色々と
種類があって担当者の気分で適当に替えてる感じです。
「柵原−(備前)片上」が、全線を通して走る最長区間になりますね。

20160818h.JPG…ココでまた折り返すだけなのに、律儀に
左側通行に則って2番線
ホームに到着して
おります。ホントに芸が細かい皆さんですよ。

 そして折り返すためには、奥の引込線
一旦入り、1番線に転線する必要があるの
ですが、「コノ『回送列車』にも乗っててイイ
ですよ
。」という事で、ココから乗せて頂く
事にしました


しかしキハ702…元の形式で言うとキハ07
って面白い形をしてますね。何で鉄道車両
が丸いのか?


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という事で、まずは女性の車掌さん
誘導で引込線に入ります。
前方の車庫にも保存車両キハ303号
が停まってますね。

車体長転轍機の位置を考えると、
かなりギリギリまで行かないとダメ
ようで、初老の運転士さんが慎重に
ブレーキを使っておりました。

ではコノ空いてる時間を利用して、車内の写真を撮ってしまいましょう。
さて片上鉄道です。今回まず復活運転に充当されているキハ702号
早速乗せて頂いたという事で、ソノ詳細を見ていきましょう。

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…先述の通り、元は国鉄のキハ07だった車両ですが、製造が昭和11年
片上鉄道に来たのが昭和42年ですか。…ほぼ耐用年数切れじゃない?

キハ07ってのは、元々はアタマにライトが一灯ある、このような外見
をしています。移籍時にソノ辺をオリジナルに改造したようですが、
元々が丸いのでマンボウみたいな魚顔になってしまった気がします。

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車内は一応はセミクロスシートですが…狭っ!コレで2人掛けでしょ?
戦前の日本人は、今より小柄な体格だったかも知れませんが、流石に
コレで長時間はキツそうですね。

20160819e.JPGちなみに私が窓側に座ってこんな感じ
自分と同じ体格の人がもう1人だと
ツラいでしょうね。
社長ぐらいだとピッタリ(猫殴)

同型車のシートにピカチュウが座ると
こうなります。僅かに隙間があるから
グランクラスよりは広いんじゃない?

それにしても、背もたれが低いのよ。

現代になって、田舎のローカル列車「治安と風紀の問題」一気に
ロングシート化
した時期がありましたが、コレだったら大丈夫か?

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シートの下には、でっかい字で「砂」の箇所が。…短距離の復活運転
では砂を撒かないと登れないような急勾配もナイでしょうが、現役時代
のハナシでしょうかね?

と、最近ソノ辺の通勤電車にも全て標準装備されつつある避難用の
ハシゴ。…しかしオハネフ12て!ドコで拾ってきたんですか?

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車内の空調は、冷房装置など勿論なく扇風機です。…しかもスイッチ
がコレまた古い!
見慣れたアレ
よりゴツい感じでした。

…と停車中ココまで撮りましたが、お客さんも集まり、いよいよ本線上
への運転
へと移ります。11時発の列車が、間もなく出発するようですね。

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駅長さんの発車合図や、スタフの受け渡しなど、ホントに全てが
本格的でした(駅舎内ではちゃんと閉塞機から取り出してる)。

いい意味で言う「本物を使った壮大な鉄道会社ごっこ」と言いますかね。


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丸っこいキハ702の運転席は、視界が良さそうです。

終点の柵原幸福まで距離にして500mぐらいでしょうか?のどかな
田園風景
の中を走ります。コノ距離体験運転してみたいと思う
のは私だけではナイ筈

…もし実施されるようになったら、希望者殺到でエラい事になると思い
ますけどね。最近ホントに北海道の「ふるさと銀河線」狙ってます

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車内では、先程の女性の車掌さん検札に回ってきました。
冷房のナイ車内の事、汗で湿った髪色っぽいです

ちなみにコノ300円の「1日会員証」で、ソノ当日は何度でも乗り降り
出来ます
。もう夕方まででも乗り放題!

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という事で、柵原幸福駅手前で折り返します。…便によって駅に
着けるモノ
もあり、ソノ場合は停車時間を長く取って写真を撮ったり
出来る
という感じでしょうか?
吉ヶ原駅にあった時刻表によると、次の26便がそうなのかな?

という事で再び吉ヶ原駅に戻ってきました。1往復で約25分程度
乗車体験になります。
もっと乗ってたいのは山々なのですが、次の予定もありますもんで、
乗車はコノぐらいにして、駅周辺や他の車両も見てみましょう。

20160821b.JPGてかそろそろお昼だな。
復活運転体験乗車を楽しんだ後は、
再び駅舎の周辺を見てみます。

まずは鉄道の現場にありがちな、安全週間
スローガンですが、ホントに芸が細かい
ですね。

「同和鉱業兜ミ上鉄道事業所」ってのが、
現役当時の正式名称なんでしょうが、
勿論現在はコノ駅周辺の保存施設のみしか
存在
しない筈なのに気合が入りすぎでしょ?
…しかも期間までピッタリだし。

そして窓の奥をよく見たら、閉塞機を操作する駅員さんの姿が…。
繰り返しになりますが、皆さんホントに鉄道員になりきってます
ある意味、羨ましい光景ですね。

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…そんな感じで時刻はそろそろお昼です。上手い具合にホームの
仮設売店色んなモノを売ってますので、見てみましょう。
地元のパン屋さん出張販売のようですね。

鉄道に関するモノとしては…「トンネルちくわパン」とか「通票クッキー」
辺りでしょうか?

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「じゃあソレだ!」という事で、上記の2点瓶入りジュースを購入。
「トンネルちくわパン」は、ポテサラが詰まったちくわが入ってました。
貫通してナイじゃないですか!

「通票クッキー」見ての通りです。よく出来てますね穴を抜いた
部分
試食品として置いてありました。

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そうこうするうち、車庫からキハ303号が出てきて2番線に入り、先程の
キハ702号と並びました

塗装は303号の方がキレイですが、走行機器類は調整中だそうで、
試運転がてらに動かしたそうな
複数の車両動態保存で維持するのも大変な事でしょうね。

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続いては3番線に入ってる客車列車です。
整備士さん連結部のホースや電気コードをいじってましたが、
コレはこの後、こちらの客車列車も動かす予定があるからだそうです。

普段は外からしか見る事が出来ませんが、コノ日は「客車ギャラリー」
と称して、車内で古い写真の展示をやってるらしいです。
早速見に行ってみましょうか。
さて片上鉄道です。続いては3番線に入ってる客車列車の車内ですが…

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 大井川鉄道などでも見られる、
国鉄のオハ35と同型車でしょう。

程よいレトロ感が落ち着く内装で、
私も好きな車両の1つですが、当日は
ココが「客車ギャラリー」という事で、
現役当時
を中心に、片上鉄道の風景
を撮った写真が展示されておりました。

…折角なので一枚ずつ見て行きます

20160822c.JPG私も元々は写真をやってた(高校〜大学と
写真部だった)のですが、車両を追っかける、
いわゆる「撮り鉄」とは違って、このような
駅の風景など、列車に人を絡めた写真が好き
だったんですよ。

でもいつの間にか、肖像権だの個人情報だの
ウルサい時代になってしまい、見ず知らず
の人を撮る事
難しいご時勢になりました。
右のような写真に、顔にモザイクを入れたら
興醒めもイイ所でしょう。
もう知り合いとかにモデルを頼むしかナイ
のか?でもソレは「やらせ」じゃない?

…とか何とか、色々な事を考えつつ、ちょっと車内で休憩
鉄道地図新幹線岡山開業当時のモノでした。…昭和45年ぐらい?

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そしてレトロ客車に「付き物」栓抜き。コレがあるから売店のジュース
はワザワザ瓶だったワケで…買うと勿論、ソノ説明があります。

ちなみに栓抜きは、このように窓枠のテーブルにあるのが一般的ですが
紀州鉄道のキハ603は、クロスシートの通路側にありました。
…やっぱりアレは相当変わってますね

20160822h.JPGそして、やはりパンとクッキーだけ
では足らないのは当たり前
駅舎に隣接する、コレまた限定営業
食堂を見に行きました。

名物がカレーライスという、至って
シンプルなお店
のようですが、先程から
駅の放送で、駅弁の販売もあるような
事を繰り返してましたので、ソレにして
みましょう


月に一度の営業なので、売れ残りを出さないためだと思われますが
ソノ割に昼を過ぎても割引などはありません。

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出札口で「お弁当引換券」という硬券を買い、ソレをお店に持って行く
というシステムです。

巨大おにぎりが1個と、卵焼きに沢庵ですか。コレまたシンプルな。
具は複数シャケ、昆布、明太子などが入ってました。食べ始める場所
によって食感も変わるでしょうが、ドコに何があるのか分からんぞ。

掛け紙はまた、取ってありますのでピカチュウさんに差し上げます。

で、今まで知らんフリしてましたが、今回一番楽しみにしてたアレ

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猫駅長が臨時にお休みでした!

楽しみの半分はソレで来たのに、何で?夏バテ?
また来ないとダメになったじゃないですか。

同じテーブルに、巨大インコを連れたお母さんが居ましたので、代わりに
ヨシヨシ
しておきました。インコ人間と同じ食い物を与えてもイイのか
よく分かりませんが、沢庵齧ってたぞ

という事で、ホントは午後に予定されている客車列車の走行なども見たい
のですが、今回は日帰り旅ですので、そろそろ次の目的地に向かう事に
しましょうか。

片上鉄道保存会ホントに楽しい所です。近くだったら是非とも加入
したい感じですが、流石に難しいか?でも機会を見つけてまた行きたい
と思いますので、皆さんも是非訪ねてみて下さい



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