2016年5月、和歌山県の山奥に小さな保存鉄道があると知って車で
出かける事にしました。…付近にある丸山千枚田などを見学して、
北山川に出ます。
コノ辺りは瀞峡と呼ばれる観光地でもあり、橋の向こうは日本で唯一の
「飛び地の村」の和歌山県北山村ですね(奈良県と三重県の隙間に
挟まってる感じ)。
トロッコ電車は、湯ノ口温泉の少し手前、瀞流荘というホテルの前から
湯元までを結んでるという事で、そっち(が起点らしい)から乗る事にして
車を着けます。
恐らくはホテル用も兼ねている大きな駐車場があり、ホテル名を冠した
「瀞流荘駅」という駅がありました。
…ちなみに「瀞」という字は、音読で「セイ」、訓読で「どろ」と読みます。
だから観光地としては「どろきょう」、ホテル名は「せいりゅうそう」
となりますね。
今回も平日に来ましたので、狙った通りの閑散っぷりですが、 恐らく
観光シーズンには一杯になるんでしょう。新しいキレイな駅舎です。
ってかコノ手の保存鉄道には珍しく、通年で毎日走ってるというのが
驚きです。…悪天候の日とか、終日客数ゼロもありそうな気がしますが。
今からだと最終の16時発に乗れますね。10分で終点に着き、向こうで
1時間の余裕があって、コレまた帰りの最終で帰ってくる感じでしょう。
では時間になりましたのでいよいよ乗車です。…どんな車両なのかな?
係の人から切符を購入。
電車の往復と、湯ノ口温泉の入館券がセットで860円でした。
…駅にあった運賃表と比較するに、電車の往復だけだと540円だから、
温泉が割引で320円なのか?ぃゃ、温泉が540円なのは不偏なので、
温泉を付けると電車が320円になるのか?…謎の料金形態です。
と、先程から「電車」と表記してますが、実際には電気機関車が牽引
する客車列車ですね。公式に「トロッコ電車」というみたいだから、
ソレに倣っての事です。
その電気機関車はこんな感じ。大きさとしては軽自動車ぐらいか?
区間の殆どがトンネルなので、運転席に屋根はありません。
元々鉱山鉄道として使われてた頃は架線集電だったのですが現在は
バッテリーで動きます。運転席を見てみると…ノッチは分かりますが、
ブレーキは真ん中の手歯止めみたいなヤツかな。
客車は5両編成で、完全な木造車でしょう。 私がホームに立った状態で
屋根が身長より少し高いぐらい。ホントにトロッコですわ。
妻面に見える電気のコードを機関車に繋ぐと、室内灯が点灯します。
連結器は軽便鉄道にありがちなネジ式、バッファー部分に古タイヤが…
生活の知恵ですね。
続いて足回り…。軌間は610mmです。
2軸なのは予想が付きましたが、サスペンションに相当するモノが全く
ナイの!後で詳しく触れますが、実際に乗ってると線路からの振動が
尾?骨から全身に来るんですよ。
では車内に入ります。…コノ扉も完全に木のサッシですな。昔の学校の
木造校舎を思い出す雰囲気ですが。
では短時間ではありますが、鉱山電車の旅に出発。ちなみに乗客は
私1人です。…平日最強!
客車の室内はワンボックの軽自動車ぐらいのスペースでしょうか?。
そして10人分程度の座席があります。…一応はロングシートなのか?
瀞流荘駅を発車するとすぐ、踏切があります。…白い車が居る方向が
駐車場から見て奥手の方…営林署か何かの施設があって、一般車は
入れない所なのですが…コノ運転間隔で引っ掛かるとは、凄い確率?
その踏切を越えるとすぐにトンネルです。
線路は複線に見えますが、営業運転の列車
は今走ってる側の線路を往復してまして、
もう片方は保安用なのか?単機の機関車に
乗った職員さんとすれ違いました。
紀州鉱山は元々、銅鉱石が採れた所だそう
ですが、掘り尽くして閉山になった後、
軌道の一部を残して、このように観光用に
公開されてるんですよ。
…隣の奈良県に住んでながら、最近まで
ソノ存在すら知りませんでしたが。
そしてトンネルに突入。…断面積が狭いのと、単なる木のサッシで
気密性がゼロに近いのとで、 カナリ喧しい車内です。
左の写真では結構なスピード感がありますが、実際はマラソン程度の
速度だと思われます。シャッター速度が遅くなるから撮るのも大変。
機関車から供給される電気で室内灯は点きますが、案内放送などは
ありません。…まぁあっても聴こえないかな。
途中に一箇所、トンネルが切れて外に出る所があり、再びトンネルを
過ぎて約10分で湯ノ口温泉駅に到着です。
…駅から更にトンネルの入口のような所に線路が続いてて、ソレが
元の鉱山跡だと思われますが、今は倉庫状態と化してました。
古い駅名標が遺棄されてますね。「瀞流荘駅」は元は「こぐちだに駅」
(…漢字表記不明)という名前だったと思われます。
到着した列車はココで折り返すので、機回しの作業を行います。
バックで一旦、トンネル内に戻っておいて客車を切り離し、機関車は
側線に入れて客車は手押しでホームに着けるんですよ。
…鉄道という、摩擦係数が少ない乗り物だから出来るハナシですね。
軽自動車を5台、マトメて人力で動かすのは無理でしょ?
列車は機回しを終えて、機関車を
連結するのかと思ったら、運転士さん
はソノ機関車に乗って単機で帰って
しまいました。
…まぁ折り返しまで1時間ありますし、
線路は片道10分でしょ。こっちの駅
には休憩出来るような所もナイし、
また後で迎えに来るよ。…って事かな。
その「ノンビリ感」が面白い所です。
ココで折り返しの列車まで1時間の余裕がありますから、少し歩いて
予定通り湯ノ口温泉に入ってから帰る事にしました。
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