2013年4月、初の木村鉄道スピンオフ企画として「労働組合慰安旅行」
と題した愛知県明治村への日帰り旅行を行いました。
…大雨で春休み中だというのにガラ空きの明治村でしたが、鉄道関係の
展示品を中心に見て回る事にしましょう。
そもそも明治村には鉄関係の展示物が多いんですよ。鉄道も明治の
文明開化と共に西洋から入ってきたモノですから。
という事で、まずは鉄道局新橋工場の建物と明治天皇の御料車…
いわゆる「お召し列車」から参ります。
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柱に「明治弐十二年 東京鉄道局鋳造」とありますね(…だよな?)。
…当時の事だから、西洋風の建物を作る建築業者さんなんてのも
少ないだろうし、建物からして国鉄(この時代は内閣直属の「鉄道局」)
で作ったのかも知れません。
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しかしまぁ…時代が時代なだけに、豪華な造りです。
今では標準的な大きさである20m車ですが、当時としてはカナリの大型。
3軸ボギーの台車も立派なもんですね。
…この当時、優等列車に3軸ボギー(普通は2軸)が多く採用されてた
のは、「その方が揺れが少ないんじゃね?」という発想があったからです。
偉い人が「駕籠だって4人で担ぐより6人の方が快適じゃないか」とか
発言してソウ決まったそうな。…全体的にそんなレベルだったのは事実。
…ってか、段々と
雨がキツくなってきました。
歴史的価値のある建物には違いナイ
ですが、古いのもコレまた事実。
…でも慣れてらっしゃるのか、対策は
バッチリです。
そんな感じで次は、日本で始めての
「電車」である京都市電のN型です。
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…桜も半分ぐらい散った風景の中、のんびり走ります。
開通当初は、交通整理の男の子が電車の前を走ってたと言うから
人間より遅いわな(でないと轢かれるし)。
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運転席は「外」なので、運転士さんは
雨の日は文字通りの「吹きっ晒し」。
奇しくも「その様子」まで見学出来て
しまうとは思わんかった。
恐らく、馬車の御者などと同じで
「客より下等」という発想なんでしょう。
今だったらソレこそ労働組合が
待遇改善の要求を出すでしょうが。
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レトロな車内に、年配の観光客さんたちも楽しそう。
&明らかに場違いな若者。…彼は「寝る時も黒いスーツ」だからな。
…と普段、何気に使ってる「吊革」というモノの語源がコレ。昔は
ホントに「革」だったんですよ。丸い部分は「布団叩き」みたいな
籐の太いやつですね。
しかし、お天気のせいで全てが空いてます。のんびり見れるから、コレ
はコレで正解かもなあ。
…では続いて、本日のメインである12号蒸気機関車に乗りましょう。
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新橋〜横浜に初めて鉄道が開通したのが1872年、その2年後に
イギリスで製造されて日本に渡り、同区間で走ってた
国内の全ての鉄道車両の中で、現役で走る最古の車両です。
日本発の鉄道は、全てイギリスからの輸入品で作られました。
風体が「トーマスっぽい」のもソノ由縁ですな。
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村内の「東京駅」と「名古屋駅」の間
を、片道約5分で走ります。
「東京から名古屋まで、
5分で行っちゃう列車は何?」
みたいなインチキ謎々を聞いた
覚えがあるんですが、コレだな。
…しかし雨すげぇよ!
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短区間ながら双方の駅に転車台があって、人力で方向を変えます。
出発方向にある腕木信号機はレプリカですが、雰囲気が出ますね。
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イギリスから輸入されたモノなので
明治の鉄道車両には、あちらの方式
である「ネジ式連結器」が装備されて
いました。
(※北海道はアメリカ製なので別
のハナシ)
…中央のフックに鎖状の金具を
引っ掛けネジを締めて固定します。
右の部品は「ブァッファー」と呼ばれる緩衝材ですね。バネが入ってます。
最初はコレで良かったのですが…
@ 耐えられる荷重に限度がある。
A 形に雌雄があって(…慣用句とは言えェロくない?)面倒。
B 作業に危険を伴う(怪我人や殉職者まで出してる)。
という事で…大正時代になって、数千両の車両を全国一斉に、僅か1日
で全部自動連結器に取り替えたのは有名なハナシ(※一部地域を除く)。
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そんなワケで乗車。
お天気のせいもあって駅も車内も
コレまたガラ空きです。
たかやすさんと話してたのですが、
目の前でSLが走ってるのに碌に
見物人も居ないで、ほぼ貸切とは、
何と贅沢な環境か?
…普通はこんな感じですもんね。
ナム氏は何やら「英国紳士なイメージ」とか言って、矢鱈と
自分を撮ったり、私が撮らされたりしてました(キャラ変わってる)。
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所で、こうした保存車両の維持には皆さんの理解と協力が不可欠です。
という事で、終点には募金箱が置いてあったりもしました。
中には、外国のお金も入ってますね(私には国が分りませんが)。
誠に在りがたいお話です。ソレはイイのですが…
ココの1日乗車券@とか、スーパーマリオの人形Aとか入れたの
誰だよ?…何の足しになるのか不明ですがな。
次なる鉄ネタは、六郷川鉄橋と
尾西鉄道の蒸気機関車ですね。
…六郷川って多摩川の事でしょ?
調べたら、現在の橋梁の長さが519m
という事で、当時もソレに近いとして
ココにあるのは「一部だけ」って事か?
あと、私が個人的に見たかったのが、
蒸気動車キハ6400なんですが…
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ナイじゃないですか!
10年ぐらい前に来た時に、こんな感じのが↑置いてあって…
蒸気動車?エンジンってかボイラーはドコにあるんだよ?…ぇ、車体の
中に入ってんの?コレは熱が篭って発火の危険性とかナイのか?
って1人で悩んでた記憶があるんですが…じゃあドコへ行ったのか?
帰って調べたら…リニア館にあるアレがそうなんですか!
はい、見た事あります。「似てるなー」とは思ってましたが、名前が違う
ので(リニア館では「ホジ6005」と言う)気付かんかった。
いやー、失礼しました。
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所で、その跡地として残ってる「線路だけ」
を見てたら、コレもまた古いモノらしくて…
「双頭レール」という種類のやつですね。
減ったら上下をひっくり返して使うんですよ。
現在の、底が広くて平らなやつと比べたら
素人目にも安定が悪そうでしょ?
恐らくは低速で軽い重量の列車にしか
向かないんだと思われます。
…黎明期はコレで良かったんだろうなあ。
なかなかに稀有な企画でしたが、仲の良い皆さんと回れた楽しい一日
となりました。
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